展示会の強化書

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展示会ブースのコンテンツは来場者の【時間軸・状態】を想定して選定する

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来場者の目を引きたい!、自社の魅力を最大限伝えたい!、という想いを様々なコンテンツに変換して来場者とのコミュニケーションを図ろうと出展者の皆さんは努力していることだろう。 

ここでは、パネル・グラフィック、映像、プレゼンテーション、カタログ・チラシなどといった来場者に自社の価値を伝える手段(ツール)のことを展示会ブースにおける「コンテンツ」呼ぶ。

 

さて、来場者の目を引くコンテンツとは何なのか、自社の魅力を最大限伝えるコンテンツはどのようなものなのか、成果に直結するコンテンツを作るためにはどうすればよいのか。今回は、展示会ブースのコンテンツ設計について考えてみよう。

 

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展示会ブースのコンテンツは来場者の時間軸と関係しあう

 

普段、展示会ブースではどんなコンテンツを活用しているだろうか?、パネル、映像やプレゼンテーション、実物やモックアップの展示、デモ体験、ノベルティの配布など、様々な手段を組み合わせて来場者とのコミュニケーションを取っていることだろう。

 

実は、コンテンツは種類と作り方によって「効果の出るタイミング」と「効果の出ないタイミング」がある。

 

パネルと映像では効果の出るタイミングが違う、あるいは同じパネルでも作り方によっては効果を発揮するタイミングとしないタイミングがあるのだ。(タイミングとは、来場者がブースに接する時間軸からみたタイミングという意味である。)

 

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コンテンツを選ぶときに意識したいポイント

 

展示会ブースのコンテンツには、大きく分けたときに2つの方向性があり、どちらに適したコンテンツかを知ることが最初の一歩となる。

 

【コンテンツの方向性】

A:短時間でポイントを伝えるコンテンツ(短時間型)

B:長時間でガッチリ伝えるコンテンツ(長時間型)

 

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そして、展示会ブース内には短時間型と長時間型のコンテンツがどちらも存在することが効果を高めることに繋がる。

 

今までの展示会ブースを振り返ってみていただきたい。どちらも存在していただろうか?、コンテンツに触れる順番は適切なタイミングになっていただろうか?

 

なぜ、短時間型と長時間型双方のコンテンツが必要なのか

 

そもそも論だが、展示会ブースの目的とは「集客すること」ではなく「成果に向けた適切な橋渡し」を行うことだ。

 

成果とは多くの場合「受注」という言葉で語られる。受注に向けた一連のプロセスのなかで展示会ブースが橋渡しの機能を最大限担うように構築するのが大切なのであって集客はあくまで橋渡しのなかにある一つのステップだ

 

さて、「適切な橋渡し」を効果的に行うためには、展示会ブースで以下のようなプロセスを経るとスムーズに実行ができる。

 

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このプロセスのなかで、MUSTなものは動機付け説得・納得で、後押しお膳立てあると効果的なもの、というぐらいの認識を持っておいていただければよい。

 

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そして、コンテンツのうち短時間型のものは動機付けに対して有効に働き、長時間型のものは説得・納得に対して有効に働く

 

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来場者の行動を時間軸で考えると、ブースに接する最初の段階で動機付けが存在するからブースに入ってくる。この動機付けの段階では短時間型のコンテンツが効果的に働く。そして、ブースでのコミュニケーションを経て納得するから、会社に戻ったあとの行動に移そうと考える。このように説得・納得の段階においては長時間型のコンテンツが効果的に働く。

 

コンテンツごとの向いている型・特性

 

では、どのコンテンツが短時間型で、どのコンテンツが長時間型なのだろうか。ある程度の振れ幅はあるが、概ね以下のような領域をカバーしていると考えてもらえれば問題ない。

 

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あくまでも代表的なコンテンツを使ったときのイメージだが、それぞれのコンテンツには得意な領域がある。が、コンテンツの作り方によってはその守備範囲が変わってくる

 

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例えばパネルであれば長時間型寄りのコンテンツだが、その作り方によっては短時間型的な使い方もできるということだ。

 

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来場者を「キャッチする」機能を高めたパネルとは、キャッチコピーの面積や視認性が高い表現になっているため来場者の目に留まりやすい構成になり、動機付けとしての機能を果たす。一方で「説明」の要素に特化したパネルでは、パっと見たときに来場者をキャッチする力はないが、詳細な説明が必要な場合にはこの1枚で機能を果たす。

 

つまり、同じパネルをデザインするにあたっても、来場者とのコミュニケーションの「どの段階」で活用するパネルなのかということによって、デザインの目的や方向性が変わってくるということだ。

 

使いたい用途にまで持って行く難易度に差がある

先ほどの表をもう一度見てみよう。コンテンツ名がある位置から矢印が伸びているのがわかるだろう。この矢印が長く伸びれば伸びるほどコンテンツを機能させるための制作難易度が高くなる。

 

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動機付けを狙って短時間型になるようにチラシもパネルも活用できないわけではない、しかし、チラシの方が動機付けを行うデザインに持っていきやすく、パネルの方が難易度が高くなる。チラシは来場者の手元で渡せるのでデザインに気を遣えばよいだけだが、パネルは設置位置が固定されるので、パっと見の見た目だけでなく来場者がどの位置から見るか距離を考える必要が出てくるからだ。

 

できるだけ制作の難易度が低くなるようなコンテンツを選択して進める方が企画のプロセスがスムースだろう。キャッチコピーで動機付けをし、パネルや展示物で説得・納得を経る方が自然なのだ。

 

接客が加わると、カバー領域が変化する

また、コンテンツは①来場者が単独で見る場合②接客で活用する場合の2パターンがある。

 

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接客で活用する場合、先ほどのカバー領域が変化する。

 

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カバー領域が変化するのは、来場者にとっての「離脱の自由度」が変化するためだ

 

離脱の自由度は来場者の警戒心に対して作用する。コンテンツ設計を考えるときには「離脱の自由度」を踏まえて考えるようにするとよい。

 

離脱の自由度と警戒心の関係性

「離脱の自由度」とは、来場者が「自分の意志で、誰に気遣うこともなく、いつでもその場を離れられるかどうか」ということだ。

 

誰にも邪魔されずパネルを見ているときには、パネルを見続けるのも、その場から離れるのも来場者の自由であり、好きなタイミングで行動を決定できる。これは離脱の自由度が高い状態と言える。

 

しかし、接客が加わると途端に離脱の自由度は低くなってしまう

一般的に相手が説明をしているときに突然その場から離れることはできない、来場者は自分の意志だけで「その場に留まる」あるいは「その場から離れる」ということを選択することができない。離れるにしても一言相手に断りを入れるというケースが普通だろう。

 

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そして、「離脱の自由度が高い」モノは警戒心が下がり、「離脱の自由度が低い」モノは警戒心が高まる。

 

ブースの外にあるパネルは離脱の自由度が高そうだ、しかし、そこにスタッフがベタ付きで立っていると離脱の自由度は下がってしまう。着座しての商談は言うまでもなく最も離脱の自由度が低い。プレゼンテーションはどうだろう、イスに座っていたとしたら、ある程度は自由にその場を離れられるとは言え途中で席を立つのも憚られると考える人もいるだろう。このように、それぞれのコンテンツごとの離脱の自由度を考えていくとよい。

 

離脱の自由度は、①時間的拘束の発生②人が介在するという2つの視点が影響する。そして、離脱の自由度が低いものほど実行できれば深いコミュニケーションが取れると考えられている。ブース外のパネルを来場者が見るだけよりも、着座しての商談の方が深いコミュニケーションを取れることは言うまでもないことだろう

 

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よく展示会主催者は「着座しての商談が効果的なのでブースには必ず商談コーナーを作って、来場者を積極的に商談コーナーに誘導しよう」ということを言う。確かに着座しての商談ができれば効果的なのは決して間違いないが、その前段階にあたる「来場者の警戒心」に出展者側の目が向いていないケースも多い。

 

闇雲に来場者へ商談席への着座を促した結果、そそくさと逃げられてしまった経験のある方はいないだろうか。その前段階にあたる、来場者に対する動機付けや来場者の警戒心に対して目を向けたブース設計をしておけば、同じように逃げられることはなかっただろう。

 

動機付け→説得・納得まで、最も効率的な道を経るには

最も望ましいストーリーは、いくつものプロセスを経ずにキャッチコピーから着座商談まで一気に進んでしまうことだろう。

 

私が見た事例では、採用系システムを展示している会社のブースで、キャッチコピーだけで集客し一気に着座商談(PCを使ったデモでの接客を兼ねた商談)まで辿り着いているような効率よいコミュニケーションを実現しているものがあった。お見事。

 

これは、キャッチコピーがガッチリ来場者に刺さるものだったからこそで、そのお陰で一足飛びのコミュニケーションが実現できていた好事例だ。「展示会のコミュニケーションかくあれかし」と思わせるブースだった。

 

複数のコンテンツを組み合わせて弱点を補強

例えばキャッチコピーと展示物を同時に視認できるような形式で展示するような方法を採る場合も多い。長時間型に寄った展示物に短時間型のキャッチコピーを組み合わせることで、的確な集客と接客を実行できるケースもある。 

 

これは一般的に実行されていることではあるが、短時間型・長時間型といった特性をふまえながら検討すると、さらに効果的な組み合わせや内容に作り込むことができる。逆に、この組み合わせがチグハグになっているようなケースも見かける。意味ある組み合わせ、つまり弱点を補強しあうような組み合わせを考えることが適切だろう。

 

応用パターン(動機付けと説明・説得を兼ねる簡易パンフ)

例えば、以下のような配布用簡易パンフを制作し、まずこのツールを使って集客、そのまま接客をしつつブース内に引き込んで商談するという進め方も考えられる。

 

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A3サイズの両面印刷を折加工したパンフレットぐらいで十分に可能となる。もう少し緻密に説明したいなら仕上がりサイズA4の3つ折りパンフぐらいでもよいだろう。

 

表紙のデザインが適切な課題の提示になっていれば、ニーズチェックの役割をパンフの表紙が果たしてくれるので、パンフを手渡した時点で興味を持つ来場者は通常の来場者と比較してもブースの内容に対する興味が強いと言える。

 

このように、複数の役割を兼ねるツールも考え方によっては制作できる。適切なコミュニケーションのあり方を、来場者の視点から考えていただきたい。

 

 

コンテンツとは「手段」である、手段には適切な「タイミング」が存在する

 

コンテンツとは「どう伝えるか」という手段の領域にあたるもの。最適なコンテンツをつくるためには「何を伝えるか」という目的が適切に整理されている必要がある。

 

「何を伝えるか」とは展示会ブースのコンセプトと言える。コンセプトがブレるとコンテンツのあり方もブレてしまうので、ここはしっかり検討するよう必要がある。何を伝えるか、という領域は展示会の企画シートで検討できるので、ぜひトライしていただきたい。

 

いかがだっただろう。コンテンツには種類や作り方に応じて効果的なタイミングとそうでないタイミングがある。来場者の「状態」を時間の流れで捉え、適切なコンテンツの選定・設計を進めることが、狙ったコミュニケーションを生み出すための遠回りなようで最短距離なのだ。

 

■参考記事

www.tenjikaibooth.net

 

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