展示会の強化書

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展示会ブース出展の費用対効果①【CPLで成果を評価してはいけない】

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出展した展示会の費用対効果が見えない、算出できない。そもそも展示会ブース出展は費用対効果が適正なのか分からない。こんな声を聞くケースは多い。

 

大規模な展示会が終わるたびに、その翌週アタマぐらいから「展示会 費用対効果」という検索ワードでこのサイトを訪れる方も多い。それだけ、意識はしているものの算出がし難い、どう考えればよいのか分からないのが展示会ブース出展の費用対効果なのだろう。もしかすると、先週出展したばかりの展示会ブースについて費用対効果を算出するように無茶ブリを突然されていないだろうか?

 

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ここでは展示会ブース出展の費用対効果とブース計画の関連性について、その算出方法や考え方なども含めて、3回にわけて掘り下げてみたい。

 

 

 

あなたは費用対効果の何が知りたいのか

 

さて、あなたがこの記事に辿り着いた理由はどの様な困りごとからであろうか。費用対効果の測定方法が分からないから知りたいのか、費用対効果が低いことが悩みなのでその向上方法が知りたいのか、どちらかであるかと想定できる。

 

この記事では費用対効果の測定方法についてスポットライトを当てて考えている。もし、費用対効果が低いことが悩みなら展示会ブースの計画を課題解決型に則って推進することをお勧めする。そのなかでも、特にコストをかけずに成果を劇的に向上させるのはキャッチコピーの精度を高めることだと断言しておこう。費用対効果を向上させるキャッチコピーの考え方、ブースを課題解決型で作るための検討プロセスについては以下の記事で紹介しているのでご一読いただきたい。

 

www.tenjikaibooth.net

  

では、ここからが展示会ブース出展と費用対効果の関係性についての本題だ。

 

CPLという頻出の評価軸

 

展示会ブース出展の費用対効果を測定する指標としてCPLが紹介されているケースをよく見かける。CPLとはコスト・パー・リードの略称で、リード(見込客)を1件獲得するためにどれだけのコストを要したかを測る指標だ。

 

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例えば新商品の特設サイトを開設して、そのサイトから見込み客を集めるような仕組みを取っている場合に、そのサイトの開設費や広告費、運用にかかる諸経費などがコストの総額になる。仮にコストの総額が1,000万でリード(見込客)が5,000人集まった場合には、CPLは1,000万円÷5,000人で2,000円となる。つまり、1件のリード獲得に2,000円を要したという計算だ。

 

CPLは低ければ低いほど、費用対効果が優秀だったと判定される。1件のリード獲得にかかった経費が安ければ安いほど評価されるのは当然だろう。

 

この指標を活用する例として展示会が挙げられることも多い。「展示会ブース出展におけるリード(見込客)の獲得数が200件で、ブース出展にかかった経費が総額200万円だった場合、CPLは1万円だ」というかたちで紹介される。

 

このような評価方法は一見わかりやすいが、展示会ブースの評価にCPLを活用してはダメなのだ。何も考えずCPLを評価軸にしていると大きな問題点が発生する。なぜだろうか。

 

CPLは展示会の成果との相性が悪い

 

CPLとはリードの総数に対する評価指標だ。一方で、展示会ブースの成果を向上させる取組みとは「リードの」を高めようとするアプローチだ。ここに、決定的な指標と取組みのズレが存在する。

 

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どんな展示会ブースを計画すれば出展成果が向上するのか、それはブース計画を顧客にとっての課題解決型でつくりあげることだ。そして、ブースを課題解決型で作り上げようとする行為とは、リードの質を向上させようとする営みに他ならない。

 

リードの質を向上させようとする行為とリードの総数を向上させようとする行為の関係性は決して【ニワトリorタマゴ】論ではない。優先順位は質を向上させようとする行為が高いと断言できる。質を向上させようとブースの計画を顧客中心思考で組み立てた結果、多くの来場者に刺さるような展示会ブースとなり、集客総数の向上に繋がることもあるだろう。が、これは結果論だ。展示会ブースはリードの質の向上を図ろうとする行為が基軸になる。

 

さて、展示会では獲得したリードをランク分けし、その後のフォロー戦略に活かすことが一般的だ。仮に獲得したリードをA~Dまでの4つのランクで分類するとしよう。展示会ブースを課題解決型でつくろうとする行為とは、獲得したリードの構成比のうちAランクのリードが占める割合を向上させようとする取組みだ。あるいは、Aランクの総数を増やそうとする取組みだとも言える。

 

展示会の成果をCPLで評価すると何が起こるか

 

しかし、獲得したリードの総数に対して費用対効果を算出するCPLで評価すると何が起こるだろうか。具体例を交えながら考えてみよう。

 

ある出展者は展示会で獲得したリードが案件化(受注)になかなか結び付かないことに課題を抱えていた。そのため、展示会の計画を課題解決型でつくることに決め、Aランクのリード獲得数を向上させる取組みを実践した。この出展者の「前回出展時の成果」と「課題解決型で計画した今回出展時の成果」を比較したものが以下の表だ。

 

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前回出展時に比べてAランクの名刺獲得数は格段に向上している。しかし、リード総数については低下してしまった。

今回出展時のリード総数が減った理由は明確だった。投入したコスト・労力は、前回と同一の予算、同一の人員数。しかし、ブースを課題解決型で作った結果、Aランクに該当する来場者がブースを訪れる確率が増えた。そのような来場者に対しては他のランクの来場者と比較したときに接客時間が長くなり、そのほかのランクのリードに対して割くことのできる接客時間が短くなったのだ。

結果、リードの総数は減ったもののAランクのリードは増えた。

 

このようなブースの出展成果を、CPLの活用により評価してしまうと何が起こるだろうか。

 

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お分かりいただけただろう。今回出展ではAランクのリードが圧倒的に増えたのに、CPLで評価すると前回出展時の方が、費用対効果が優秀だと解釈されてしまう

 

もう一度申し上げる。

展示会ブースにおいて成果を向上させる取組みとは、獲得するリードの質を向上させようとする取組みだ。しかし、CPLは展示会ブースが獲得したリードの総数に対する評価軸である。つまり、CPLという評価軸は展示会ブース出展に際して、出展者が持つべき基本的な姿勢と相反してしまう。

 

もちろん、Aランクのリードがどの程度増えればよいのかという基準は各々の出展者で判断すべきことではある。この点については次回の記事で売上見込の算出について触れるので参考にしていただきたい。しかし、CPLという評価軸そのものが、展示会ブース出展に向き合う基本姿勢とズレてしまっているので、そのまま活用することは全くもって適切ではない。

 

どうしてもCPLを活用したいのであれば

 

どうしてもCPLを活用したいのであれば、獲得したAランクのリードのみに対する評価軸として活用するとよい。そのほかのランクのリードについては一切評価に組み込まない、評価基準としては無視するのだ。なぜなら、展示会ブースの成果を向上させようとする取組みは、いかにAランクのリードを獲得するかという計画と実践だからだ

 

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Bランク以下のリードがその後の活動によってどんな売上に繋がろうが展示会時点での評価には関係ない。「展示会ブースの計画」が適正であったのかどうかを測るなら、Aランクのリード獲得を増やそうとした計画が実際に結果として現れていたのか、Aランクのみの数から測ることは理に適っている。

 

急遽、費用対効果を算出しろと指示された方へ

 

最初に挙げた疑問のうち、もし今まで費用対効果を算出する方法論を持っていなかったのに、急に費用対効果を算出しろと言われた担当者の方がいるのであれば、先に挙げたようなAランクの獲得数のみによるCPL算出という方法しかないだろう。

 

ただし、この段階では投資額の妥当性は評価しようがない。わかるのはあくまでも重要リードを獲得する際の費用対効果だけだ。しかも費用対効果自体は同一条件での計測のもと、別展示会と比較しないと成果が向上したのか低下したのかは判断がつかない。「今回のAランク見込顧客を獲得するためにかかったコストは1件あたり30,000円でした」と言われても、比較対象がなければそれが高いのか安いのか判断がつかない。

 

また、Aランクのリード獲得数のCPLを展示会終了段階で計測したとしても、一定期間経過したあとの追加検証は絶対的に必要となる。一体何を検証するのか、それは「Aランクに設定したリードは本当にAランクだったのか」という検証だ

 

Aランクのリードは、本当にAランクだったのか

 

展示会ブースのコミュニケーションにおいて獲得したリードを、何をもってAランクであると判別しているだろう。おそらくニーズチェックの質問や相手のリアクションに応じて判断基準を設けて分類していることだろう。

 

そして、Aランクのリードとは、収益との相関性が最も高いリードでなければならない。収益との相関性が低いなら、そもそもAランクには分類されないはずだ。おそらく収益との相関性が最も高いであろうと事前に想定される基準に沿って、Aランクへの分類を行ったはず。しかし、本当に収益との相関性が高いのかどうかは事後に検証してみないと分からない

 

事前に想定していた評価軸と、実際の成果とがズレているケースは起こり得る。もし、意外とAランクのリードが収益と相関性が低く、案外他のランクも含めた異なる切り口の方が収益との相関性が高かった場合には、そもそもAランクと判別するための基準を変更しなければならない。

 

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こんなケースもあり得る

 

Aランクを判別する基準が変われば、当然Aランクを獲得しようとするブースの計画も方向性が変化する。Aランクの判別方法が誤っていたとわかったなら、その基準を変更しなければ、例え展示会に出展してリードを一定数獲得しても、なぜだか成果には繋がらないという状況が毎度続いてしまうことは目に見えている。一定期間経過後に検証が必要な理由はご理解いただけただろうか。

 

そもそもCPLでは計画の妥当性を評価できない

 

CPLを単純に活用して展示会ブース出展の成果を測定してはならない理由についてはご理解いただけただろうか。もしCPLを活用するのであればAランクの獲得数のみから算出しなくてはならない。

 

しかし、上述のとおりCPLではそもそも投資金額が妥当だったのかどうかということは判別できない、あくまでも算出できるのは費用対効果のみで、その妥当性については判別ができないのだ。上述のAランクのみCPLを算出するような方法を採ったとしても費用対効果は分かっても費用対効果の妥当性については分からないままだ。

 

例えば、前回の展示会出展におけるCPLはAランクのリード1件に対して5万円だったとしよう。この数字を見て<費用対効果が高いor低い>は分かっても<妥当であるor妥当でない>は判別がつかない。なぜなら、CPLとはあくまでも【リードの獲得】に対して費用対効果を論じているのであって、【売上】に対しての費用対効果を論じているわけではないから。売上についてはもちろんリード獲得の段階で結果は出ていない。

 

2回の展示会出展におけるAランクの名刺獲得数とCPLが仮に以下の図のようなケースがあったとしよう。前回の展示会はCPLが5万円、今回の展示会はCPLが8万円だった。

 

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これだけで判別すると費用対効果は前回の方が高く、今回は低下してしまったという解釈をしてしまうかもしれない。しかし、実は今回の展示会では前回よりも受注率を向上させるため、メッセージをさらに絞り込み、Aランクの接客時間を長くとり、密なコミュニケーションを行うような計画を実行していた。

 

つまり、Aランクの質をさらに向上させるような取り組みだ。そのため、会期中に接客できる人数が減りAランクの総数自体は減少、CPLも前回より悪化してしまった。しかし、一年経過したあと実際の受注件数は以下のようになった。

 

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Aランクの質を向上させる取組みをした結果、展示会後の歩留まり率(CVR)が劇的に向上し、受注件数は伸びている。投入したコストは同一であるため、費用対効果はむしろ今回の出展時の方が優秀だと言えるだろう。この例は分かりやすくするため極端な数値を設定したが、このように最終的な結果である受注・売上も含めてウォッチしないと費用対効果の妥当性は判別できない

 

おわりに

 

CPLは前回の出展時と比較して、成果が向上したのかどうか比較することには役に立つ。ただし、それは前回と同一のランク判断軸によって判別した場合に限る。さらに、そもそも投資している金額が妥当なのかどうかは、この数値からは判別ができない。CPLは費用対効果の一側面を照らしてはくれるが、これだけで費用対効果のすべてが分かるわけではないことをご理解いただけただろうか。

 

そして、費用対効果を測定したいと思う最も大きな動機は、投資額の妥当性が知りたいからだろう。次回の記事ではその妥当性について考えるための方法論を紹介する。

 

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