展示会の強化書

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なぜいま展示会ブース出展なのか!?展示会に出展する意義・効果・メリットとは

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なぜこの時代に【展示会】というアナログな手段なのだろう。展示会にブース出展することにはどんな価値があるのだろうか。多くのブログや書籍などで展示会に出展する効果や意義は謳われているが、敢えてここでも展示会に出展する意義やメリットについて考えてみたい。

 

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通常、よく言われることは「新たな顧客の獲得」についてだ。私もその効果は絶大であると感じている。しかし、それ以外にも展示会に出展することは副次的な効果があり、その副次的な効果が思ったより大きな影響力を発揮してくれる。

 

つまり、顧客の獲得という絶大な効果と思った以上に大きな副次的効果が得られる展示会出展・・・いいことだらけじゃないか!、ということでその詳細に触れてみよう。

 

 

展示会に出展する価値:売上編

 

どんな企業であって売上は企業の維持に欠かせないものであり、生命線と言えるものである。企業活動の根幹を支える「売上」を確保するにあたって展示会出展は非常に大きな効果を発揮する。

 

売上に直結する新規顧客候補(リード)の獲得ができる

 

東京ビッグサイトや幕張メッセなどに代表される大規模展示会場での展示会は一度の来場人数が数万人となることも日常的な光景だ。その数万人とはただの数万人ではない。様々な展示会の開催テーマを見ていただければわかるとおり、ニッチな業界や技術に特化したモノが多々ある。一見するとニッチに思えるテーマでも数万人の来場者を集めてしまうのが展示会が持つチカラなのだ。

 

ニッチな業界であればあるほど、自社に関連する業界の情報を的確に収集することは難しくなる。その点、展示会という場を活用すれば全国からその業界で活動する企業が一同に会すこともあり、来場者にとっては自分の課題解決に繋がる企業や製品を探すには非常に効率のよい機会にもなる。

 

逆に出展者にとっても同様のメリットがあり、通常の新規セールスなどにかける時間や人員よりも、はるかに効率よく自社の顧客になり得る対象者と出会うことができる。しかも、ただ顧客候補と出会えるだけでなく顧客のなかにいる、普段は出会えない担当者との出会いも一定のコントロールできるのが展示会の大きな特徴だ。

 

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ものづくり系の企業を例に挙げて考えてみよう。

 

特殊な技術をもつA社だが、ここ最近は取引先の事業縮小などのあおりを受けて早急に新規セールスを行わなくてはいけないような事態に直面している。しかし、従来型のテレアポなどを介した新規セールスでは顧客になり得る企業にアポイントが取れても、訪問したときに出てくる担当者は調達担当ばかりで話題は価格面の要求ばかり。価格競争ではどう足掻いても大手企業には太刀打ちできないA社・・・さて、このA社が展示会に出展したときに何が起こったか。

 

いつもは顧客候補の担当者が調達担当ばかりだったのに対し、A社が出展した展示会には開発や技術関連の担当者が多く来場していた。これまでは価格面の話ばかりで自社技術はまったく評価されていなかったのが、開発担当者がA社の技術を見ると「これは素晴らしい!」と引き合いに繋がった・・・!という事例は、展示会出展でよく聞く話でもある。

 

自社のもつ特徴(技術や製品・サービス)を最も適切に評価してくれる人と出会うことができる、コレは展示会の大きな魅力だ。しかも、そんな相手がこぞって来場するのが展示会という場なのだ。通常3日間程度という期間で開催さることが多い展示会は、その出会いの数と質の高効率で他のマーケティング施策の追随を許さないほどズバ抜けている効果を持っていると言えるだろう。

 

つまり、自社の特徴を正しく評価してくれるということは売上に繋がりやすくなるだけでなく、健全な売上に繋がる可能性を高めてくれるということとも同義である。どんな時代であっても、なるべくならば価格競争は避けたいものだ。もちろん、圧倒的なリソースや他社の追随を許さないコストダウン技術をもつのであれば価格競争も生き残る道だろうが、多くの中小企業にとってそれは当てはまらないだろう。

 

だから、自社の特徴を正しく評価してくれる顧客の存在とは、それだけで価格競争を回避できる一つの要因となり、そんな顧客と出会える展示会は貴重な場なのである。

 

既存顧客との関係性強化

 

同じ展示会に何度も出展してマンネリだ、という声を聞くことがある。

何度か出展したら別の展示会に出展した方が良いよ、という声を聞くこともある。

本当なのだろうか・・・?

 

展示会は新規顧客の獲得だけではなく、既存顧客との関係性強化にも持ってこいだ。しかし、展示会において既存顧客との関係性強化を重視している出展者は少数派であるようにも見受けられる

 

どうしても「展示会=新規セールスの場」というイメージが強いようで、既存顧客との関係性強化に対して敢えて展示会でエネルギーを注がなくともよいのではないか、別のセールスの機会で関係性の強化を図ればよいのでは、と考えてしまうようだ。

 

そう考えてしまう方に一度イメージしていただきたい。

あなたが普段取引している企業の中にいる「出会いたい人」とは既に出会えているのか?、もしかすると普段コミュニケーションを取っている担当者だけではなく、本当は出会いたいのに今まで出会えていない担当者はいないだろうか?

 

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展示会では、従来の顧客のなかにいる「出会いたいのに出会えていない担当者」とも出会える可能性がある。そのような立場にいる人が来場するケースもあれば、逆に出展者側から来場を促すことで、出会いたい人を展示会に呼び込むことも可能だ。そもそも、他の施策で適切に関係性の強化ができるのであれば苦労はしないはずだ。

 

一般的には既存顧客を「維持」するような活動に対して、企業は積極的に自社のリソースを割こうとしてこなかったケースが多いようだ。

 

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リソースとは広報宣伝などの実質的な経費や営業のフォロー活動などが該当する。どうしても「売上を伸ばす」新規の顧客開拓に対して自社のリソースを費やし、既存顧客のフォローに対するリソースの配分は疎かになりがちだ。

 

既存顧客のフォローにも力を入れているという認識の方も、今一度自社のリソース配分について考えてみていただきたい。自社のリソース配分は現状の売上を維持するために適切と言える配分になっていただろうか?、重要な顧客に対して自社のリソースを適切に配分していなかったがために、ダウンサイズする市場のなかで重要な顧客を失い経営に行き詰まるというケースはよく耳にする状況でもある。

 

このような事態から脱却するために、現在では単純な売上でなく顧客が生涯にわたって自社にもたらしてくれる利益を基準に考えるLTV(ライフタイムバリュー)や、顧客のロイヤルティを高めて自社の経営を健全化する顧客ロイヤルティ戦略などを採る企業も増えている。これらの指標が生まれた背景の一つに、リソース投入のミスマッチも一面あるのだろう。

 

このようなマーケティングの流れとも、既存顧客との関係性強化という意味で展示会出展で得られる成果とは相性良く効果を発揮するのだ。マンネリだとか、新しい市場の展示会で新規開拓を・・・と考える前に、今一度このような背景について考えてみるとよいだろう。

 

展示会出展がもたらす副次的な効果

 

上述なケース、特に新規セールスの分野において展示会への出展効果とは語りつくされている感もある。しかし、実はその他にも展示会ブース出展には副次的な効果がある。そして、副次的な効果を正しく活用できたとき、その影響は想像以上に大きなものとなるのだ

 

ビジネスゴールまでの短縮

 

展示会ブースに出展することで、通常の新規セールス活動のケースと比較してビジネスゴール(受注・契約)までに必要とする期間を短縮できるケースがある。展示会ブースに顧客候補が来訪するということは、例えブースで行われた接客がカンタンな説明だけであったとしても既に一定の商談を経過している状態と言えるだろう。

 

例えばテレアポで開拓した新規顧客候補のもとに訪問した場合をイメージしてみよう。自分の会社はこんな会社で、こんな特徴があって、こんな困りごとを解決できます・・・といった案内をすることから取引に至るまでのプロセスが始まるのであるが、展示会ブースに訪問してもらっている場合、このプロセスは既に経ていると考えることもできる。

 

ということは、展示会を経た顧客候補については基本的に2度目のコンタクトをイメージするようなアプローチができる場合が多いのかもしれない。

 

通常の新規セールスの場合、初回のコンタクトでその後の発展性が相互に見いだせず顧客候補から脱落してしまうようなパターンもそれなりにあるかもしれないが、展示会を経ている場合には一定のスクリーニングを展示会段階でかけることができる。初回のコンタクトで、一気に顧客候補が脱落するようなビジネスモデルの場合は展示会活用が特に有効に働くだろう。

 

ビジネスプロセスが短縮できるということは勿論双方にとってメリットがある。顧客側はスムースにベネフィットが獲得できることに繋がるうえ、出展者側はコンバージョン(受注)までの工数が減るので人件費の削減に繋がる。

 

この効果を的確に活用するためには展示会の段階から収集したリードの優先順位に沿ってどのようなフォローを行うのか一定の計画を立てておく必要があるだろう。せっかく収集したリードに対して展示会での接客ポイントが担当営業に的確に引き継がれず「改めて弊社の紹介となりますが・・・」といったフォローをしてしまうような無計画ではビジネスプロセスの短縮には繋がらない。

 

高密度な定性情報の収集

 

先に挙げたように普段は出会えない顧客内のキーパーソンと出逢えるのが展示会の特徴だ。そこでは普段の営業活動から得られる情報とは異なる様々なポジションの担当者からの「生の声」が収集できる。


顧客候補のなかにいる調達、技術、営業、経営者、それぞれの層・担当者は自社の製品・サービス・ビジネスモデルをどのように捉えるのだろうか。そんな生きた情報を一気に収集できるという意味で、通常のマーケティングリサーチと比較しても密度が濃い情報を獲得できるのが展示会出展だ。

 

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また、同じような数値や情報も、直接顧客から聞くのと聞かないのでは受け取り方が異なる。ましてや、顧客との接点が少ない部署や担当者などにとってはリアルなコミュニケーションを取ることのできる場は貴重な機会だろう。営業担当者のフィルターを通して顧客の声を聞く場合と、直接顧客から聞く場合とでは、まったく同じような情報であったとしても受け取り方が異なる。時には数値化された定量的な情報よりも、一人の顧客の生の声が本質を射抜いていることさえもある。「直接コミュニケーションを行う」ということは数値を超えた印象を社内にもたらすのだ。

 

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インナーブランディング・企業風土の形成にも効果的

 

展示会は企業が生存するために必要不可欠な「売上」の獲得に適したものだ。そのほかにも、その売上の獲得の他にも売上を生み出す源泉とも言える「企業の力」を伸ばすことに対しても強い効果を発揮してくれるのだ。

 

■顧客志向文化の形成

 

ここまで展示会出展の効果の素晴らしさについて触れてきたが、展示会に出展すれば無条件に出逢いたい顧客とホイホイ出逢えるわけではない。適切な顧客にアプローチするには一定のセオリーが存在する。

 

その最短距離はブースの企画を徹底的に顧客志向で実行すること。顧客志向になればなるほど展示会ブースの成果は向上すると言っても過言ではない。

 

そして、展示会での成果はそのまま企業の売上に直結しやすい。展示会における顧客志向の徹底が売上に繋がる成功体験として自社の中に残ると、社内風土や文化にも強い影響力をもたらすことは想像に難くない。顧客志向を徹底してモノゴトを組み立てることこそが、企業が生き残る源泉に繋がるという気付きは展示会ブースの出展プロセスから強く感じ取ることができるのだ。

 

■インナーブランディングの場としての機能

 

展示会に出展するとは自分たちが「どの領域でビジネスを推し進め」、「どんな戦術で戦っていき」、「どんな価値を市場に提供するのか」ということを内外に示す場でもある。つまり、ただ顧客を獲得するための場であるだけでなく、自分たちの存在意義を内外に、この場では特に自社の内部にその指針を指し示すことのできる場でもあるということと言えるだろう。言い換えると、展示会ブースとは企業のビジョンや経営指針を現実に落とし込んだモノと表現できる。

 

さて、自社のビジョンや経営指針は正しく社員に浸透しているだろうか。ビジョンと行動がチグハグになっていたりはしないだろうか。展示会とはビジョンや経営指針を顧客に対して分かりやすくアウトプットする機会でもある。経営者が展示会ブースを見れば、自社のビジョンや経営指針が「実際の行動」として落とし込まれているかどうかは分かるはず。逆に、展示会ブースをつくるプロセスに経営指針やビジョンを社内に行動として浸透させるような仕掛けを組むことも可能だろう。

 

幸いなことに、このようなイベントごとは「お祭り」的な捉え方ができる。「お祭り」は皆で力を合わせ、明確な目標をもって進めやすいプロジェクトでもある。ゴールが決まっている目標というものは関係者の力を結集しやすいもので、この明確なゴールに向かう「盛り上がり」を効果的に活用できれば、「ビジョン」と「行動」の整合性を取ることができる、つまりはインナーブランディングにも大きな効果を発揮するはず。

 

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■デザイン経営との連携・デザイン投資の効果を実感しやすい

 

デザイン経営という言葉をご存知だろうか。企業活動の中心的な要素にデザインの要素を加え企業活動の価値向上を図るという取り組みだ。このデザイン経営という考え方を実践するにあたって、展示会ブース出展は非常に相性がよい。前回の記事ではその相性について触れているのでコチラもご一読いただきたい。

 

www.tenjikaibooth.net

 

ここで言う「デザイン」とは「顧客志向」や「ユーザー中心思考」といったものがベースとなり実践されるものだ。現にデザイン経営を顧客志向経営と言い換えている企業もある。

 

自己満足のデザインではなく、考える基準を顧客の思考や行動に置くことでその効果を最大化する活動が本来の意味でのデザインであり、展示会において実践できた場合の効果は非常に大きいものがあるはず。よく「展示会ブースは課題解決型で作りましょう」というフレーズを聞くが、これはまさに顧客志向を実践するデザインと言える。

 

ただ出展すれば顧客候補を獲得できるわけではない

 

もちろん、展示会に出展するにあたってブースでどのようなコミュニケーションを実践するかどうかは緻密な設計が必要になる。しかし勘違いしないでいただきたいのは、多額の予算が必要になるわけではないということだ。

 

自分たちの顧客になり得る人たちの課題に向き合い、自分たちが果たせる役割や価値を正しく定義し、最も適切に伝わる方法を模索するという、そのプロセスを丁寧に・綿密に組み立てることができるかどうかが成果に繋がる道筋だ。

 

予算はかけているけれども見合う成果の出ていないブースは幾らでも存在する。逆に小さなブースで予算はかけられていないけれども丁寧に企画を進めた結果、劇的な効果を挙げているブースも存在する。「何が出来たか」よりも「どう作るか」というプロセスに目を向けることが、展示会出展の効果を最大化する基本的な姿勢なのだ。

 

おわりに

 

展示会出展とは正しいプロセスを踏めば主目的も副次的な目的も同時に達成できる。それは顧客志向であること、デザイン思考的なプロセスを踏むことが近道と言えるだろう。これらの実現をサポートするために、私はアドバイザリー業務を請け負っている。

 

www.tenjikaibooth.net

 

これだけ多くのメリットが存在する展示会、「さあ展示会に出展しよう!」と言ってしまうと些かセールス的ではあるが、自社ビジネスの展開にどこか行き詰まりを感じていたり、突破口を探している場合には展示会出展は強い解決策となると確信している。

 

だから、敢えてセールス的になったとしても、私はこう言う。

「さあ、展示会に出展しよう!」

 

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