展示会の強化書

展示会ブースの企画・装飾・デザイン・運営など展示会にまつわるプロセスのノウハウ提供ナンバーワン!展示会の狙いを強化する「強化書」です。

展示会ブースにおけるパネルの「正しい役割」とは?

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パネルとは、展示会ブースで最も活用されるツールと言ってもよいでしょう。自社・商材の特徴をまとめ来場者に伝えるために作成されるこのアイテム。A1サイズなら84.1cm×59.4cm、そこに込められたワンダーランド。たかがパネル、されどパネル。

 

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パネルのデザインには出展者としてのスタンスが如実に出ます。よって、パネルの作り方がマズいということはブースそのものがマズいという状態とも言えてしまいます。今回は、そんなパネルのデザインについて2回に分けて考えてみましょう。

 

 

 

展示会において伝えたいメッセージをコミュニケーションとして変換するにあたって安価に作成ができるツールの一つであるパネル。時代・テクノロジーが進化しているというのにパネルという手段は数十年変わらずに残っているアイテムです。これだけ使われるのはやはり自社商材をPRするのに作りやすさと使いやすさを兼ねているというところでしょう。

 

しかし、これだけ長い期間にわたって大量に作られているパネルですが、そのデザインのセオリーなどについては体系化されたものはありません展示会場を見て回ってもダメなパネルは山ほど見かけます。

 

パネルを見れば出展者のスタンスそのものが見えてきます。展示会ブースは一貫して顧客志向で作ることが効果を最大化する最短距離。パネルのデザインにも、その姿勢は如実に現れてきます。

 

こんなパネルはダメなパネル

 

パネルのデザインがどうあればよいのか、パネルの中身をどう考えていけばよいだとかアレコレ考える前に、まずはダメなパネルのケースを考えてみましょう。

 

製品名や製品カテゴリ名が強調されていて、ベネフィットに触れていないパネル

製品名を覚えてほしいのかもしれませんが、来場者は製品名を見て興味を感じるのではなく「自分の課題を解決してくれる」という結果が存在するから製品名・製品そのものに興味を持つのです。カテゴリ名も同様でその商材が来場者の課題をどう解決するのかというところにまで掘り下げないと展示会では効果が薄くなります。「言葉足らず」という状態です。
ただし、製品名そのものが来場者の課題解決やベネフィットに触れているようなキャッチーな名称になっている場合は問題ありません。

 

自分たちの伝えたいことで埋め尽くされたパネル

特に自社技術に自信がある場合、こういったパネルになるケースが多いようです。あるいは研究開発系など技術畑の担当者がデザインをディレクションするとこういったデータなどをしっかり伝えようとし過ぎてしまい、パネルの隅から隅までギチギチに情報で埋まったデザインができあがります。技術自体は来場者にとって知りたいことではなく「知りたいことの根拠」であるケースが多いです。

 

どこを見ればよいのかわからないパネル

素人デザインで進めてしまった結果、どこを見たらよいのか分からない・見にくいパネルになるケースも多いですが、プロのデザイナーに発注していても、こういう状態になるケースがあります。なぜなら、パネルが上述のような言いたいことを中心に構成されていて、来場者が聞きたいことには答えていないという状況だから・・・このような状況の場合、来場者はどこを見てよいのか分からず迷ってしまいます。

ブースの外からなんとなくパネルのデザインを眺めて自分の興味がありそうなものか見ている来場者もある程度います。しかし、パネルのデザインが「来場者の欲求を高めるもの」としてデザインされてない場合、ブースの中に入るまでは至らないケースも増えてしまうのです。

 

どんなコミュニケーションを取るか想定できていないパネル

来場者側のリアクションが「はぁ・・・」とか「なるほど・・・」で終わってしまうパネルはブース内でのコミュニケーションが想定できていないパネルです。展示会ブースにおいてパネルとはブースを構成する要素の一部分です。「来場者の体験」を時間軸で考えたときにパネルが果たす役割を考えないと意味のあるパネルになりません。このような状態の場合、パネルのデザインだけでなく接客フローも同時に検討しなおした方がよい可能性があります。

 

これらダメなパネルに共通する特徴は、主語が出展者側にあることです。

出展者が言いたいこと・伝えたいこと・取りたいコミュニケーションがデザインとして落とし込まれたパネル、そこには来場者の心理や行動は加味されていません。

 

自分たちが言いたいことから来場者が聞きたいことへ

 

既になんとなくパネルのデザインをどのような方向性で進めればよいかイメージがついているかもしれませんよね。パネルの主語を来場者にして考えてみましょう

 

つまり、来場者が聞きたいこと・来場者の興味を感じること・来場者の欲求が高まるものをパネル化する。このような視点を持つだけでもパネルのデザインや効果はガラっと変わります。

 

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主体を変換したうえで、パネルにしたいと考えている内容を文章にしてみましょう。文章にしたときに違和感なく目的・結論・根拠などが説明できるかどうか、その説明は来場者にとって理解しやすいものかを確認します。組み上げたときに「文章として成立しない」ような内容だとパネルとしても成立していないということになります。

 

文章に変換するための方法は、【展示会の企画シート 1-8 ブースが伝えるメッセージ】のテンプレートを活用すると進めやすいので試してみてください。ダウンロードは以下のURLから可能です。

 

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www.tenjikaibooth.net

 

来場者視点になっていないデザインの弊害

来場者に製品やサービスの効果が伝わりにくいだけでなく、他にも2つの弊害が起こり得ます。

 

【課題が言語化されていない来場者は気付かない】

課題が言語化されている状態とは日常的に意識しているという状態のことです。困りごとを理解・感じていてその解決策を探している状態と言えます。一方、課題はあるのに日常的な意識にはのぼってきていないという状況も存在します。当たり前のこととして受け入れている、何かを改善しようとすることを諦めているという状態だと言語化されていないケースが増えます。深刻な症状なのに自覚症状がない、という状況は意外と多く存在するのです。

 

このような状態の場合、そもそも来場者自身が出展製品に関するテーマで課題を抱えていると気付いていないのでパネル・ブースに対して興味を示さない可能性があります。「あなたはこんな課題を抱えているんですよ」という気付きを与えるようなアプローチが必要なケースです。

 

【製品・サービスと関係ない来場者が「自分に関係あるかも」と思ってブースに入ってくる】
とは言え、来場者はそれなりに自分に関係ある製品やサービスの情報を収集して帰ろうと思っています。ある程度行動にゆとりのある来場者ならブースの外からなんとなくパネルを見て「もしかしたら自分に関係あるのかな?」と考えてブースに入ってくるケースもあるのですが、このときに接客したものの「まったく自分には関係のない展示内容だった・・・」とブースから去るようなケースもそれなりにあります。

 

出展者にとっては、リードとして獲得できたのだから優先度は低くても適したアプローチをしていけばよいんじゃないの?ということも考えるでしょうが、時間の経過では云々なく根本的にハズレの場合があるのが問題です。その接客時間とは来場者にとっても出展者にとっても完全に無駄なわけです。展示会とは開催期間が定まっている施策ですから、お互いの時間を無駄に喰い合うような状態は避けるべきです。

 

ブースにある他の構成要素とその役割は

パネルのデザインを進める下準備としてブースにある他の構成要素が何なのか、それぞれの構成要素の役割は何なのかを整理してから考えましょう。

 

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さて、来場者にどんな行動を取ってもらいたい、あるいはどんな感情になってほしいのでしょう。狙いを整理したときに、それぞれの構成要素は来場者に対してどう働きかけ結果どんな気持ちを誘導するかを整理していけば、パネルのデザインで強調するべき情報も見えてくるはずです。上述の3分間メッセージをブース全体で伝える内容として活用するなら、メッセージのどこをブースの何を使って伝えるのかを整理するような流れです。

 

例えばキャッチコピーが来場者の普段のビジネスの仕方に対して「そのやり方で大丈夫?、リスクがあるよ!」と恐怖心を煽るような表現でブースへの誘引を行うのであれば、ブース内のパネルは「でもね、安心して!、〇〇〇すれば大丈夫だよ」という表現に繋がった方がスムースな理解に繋がりますよね。

 

他の構成要素との一貫性とブースが持つキャラクター性が来場者の理解しやすさや興味の喚起を助けます。この点を整理するには来場者の感情誘導を想定すること、カスタマージャーニーマップを応用した「展示会ジャーニーマップ」を活用すれば整理がしやすいです。

 

■参考記事:感情の誘導

www.tenjikaibooth.net

 ■参考記事:展示会ジャーニーマップ

www.tenjikaibooth.net

 

それってパネルじゃないと表現できないの?

 

展示会ジャーニーを整理すると「あれ?、これってもしかしてパネルじゃない方が理解しやすいんじゃないの?」といったことに気付く場合があります。あるいは平面的なグラフィックであればパネルでなくとも異なるマテリアルで表現することも可能です。

 

パネルによる表現は安価ではありますが、例えば映像表現・デモ機・サンプル・モックアップなど、他の表現の方が理解しやすい場合はそちらも検討してみましょう。大切なのは「来場者にとって」理解がしやすいのはどちらかというポイントです。

 

パネル以外のマテリアル

サイズ感や価格感、転用性や美しさなど、様々な特性があります。大判のグラフィックをブースの壁面いっぱいに貼り付けるという方式もありますが、ここでもやはり「来場者にとって」理解しやすい・視認しやすいアイテムは何かという視点から選ぶようにしてください。

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LEDパネルという選択肢の功罪

展示会ではLEDパネルを使うケースも多いです。「非常に目立って良い」という評価がされがちですが、私は少し懐疑的な面もあります。というのも最近のLEDパネルは明るすぎるのです。

 

確かに明るいので通路から目立つことは間違いないのですが、正直ずっと見てられないような眩しさのLEDパネルも存在します。パネルの主目的は「接客」で活用することがメインでしょう。そんな場で眩しくて見てられないLEDパネルを使うことは不合理かもしれません。アルミフレームタイプのLEDパネルなら印象としてそこまで明るさがキツくはないので、接客にも活用しやすいはずです。

 

人間の目は明るさに応じて虹彩を絞ったり開けたりして目に入る光量を調節します。しかし、展示ブース内にLEDパネルなどの明るい場所と、そこまで明るくはなってない展示物など光量にコントラストが出来ている状態では、目の光量調節が追い付かずストレスを感じるケースも増えます。私も加齢とともに感じるようになってきましたが、明らかに虹彩を開け閉めするスピードが昔より遅くなっている。ということは、ブース内に明るさのコントラストができるのは心理的な負荷になりかねないということです。

 

また、来場者にとってはものの数分のことでも出展者スタッフにとっては3日間という時間です。その間、頻繁に目に負荷をかけていればどうしても最終日には疲労がたまってきてしまいます。会期3日間のうち通常最終日の午後が最も集客の増える時間帯なのに、その時間までに敢えてスタッフの疲労やストレスを増大させることは非合理でしょう。空間を使うのはあくまで人間なのですから・・・

 

おわりに

 

展示会のパネルについて基本的な考え方を追いかけてみました。次回は具体的にデザインをどう進めていくのか来場者視点で作る方法について掘り下げていきたいと思います。

 

www.tenjikaibooth.net

 

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