展示会の強化書

展示会ブースの企画・装飾・デザイン・運営など展示会にまつわるプロセスのノウハウ提供ナンバーワン!展示会の狙いを強化する「強化書」です。

展示会ブースにおけるパネルの「正しい役割」とは?

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パネルとは、展示会ブースで最も活用されるツールと言ってもよいだろう。自社・商材の特徴をまとめ来場者に伝えるために作成されるこのアイテム。A1サイズなら84.1cm×59.4cm、そこに込められたワンダーランド。たかがパネル、されどパネル。

 

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パネルのデザインには出展者としてのスタンスが如実に出てしまう。よって、パネルの作り方がマズいということはブースそのものがマズいという状態とも言えてしまう。今回はパネルデザインのポイントと方法論について、2回に分けて考えてみたい。

 

 

 

■実際にデザインをするうえでのポイントは以下の記事を参考に

www.tenjikaibooth.net

 

展示会において伝えたいメッセージをコミュニケーションとして変換するにあたって安価に作成ができるツールの一つであるパネル。時代・テクノロジーが進化しているというのにパネルという手段は数十年変わらずに残っているアイテムだ。これだけ使われるのは、自社商材をPRするのにあたっての「作りやすさ」と「使いやすさ」を兼ねているというところだろう。

 

しかし、これだけ長い期間にわたって大量に作られているパネルではあるが、そのデザインのセオリーなどについては体系化されたものは存在しない展示会場を見て回ると、ダメなデザインのパネルを山ほど見かける。

 

パネルを見れば出展者のスタンスそのものが見えてくる。そして、展示会ブースは一貫して顧客志向で作ることが効果を最大化する最短距離。パネルのデザインにも、その姿勢は如実に現れてしまうのだ。

 

こんなパネルはダメなパネル

 

どんなパネルだと展示会では効果を発揮しない、ダメなパネルなのだろうか。具体的な事例からダメな理由を考えてみたい。

 

製品名や製品カテゴリ名が強調されていて、ベネフィットに触れていないパネル

製品名を覚えてほしいのかもしれないが、来場者は製品名を見て興味を感じるのではなく「自分の課題を解決してくれる」という結果が存在するから製品名・製品そのものに興味を持つ(製品名そのものが来場者の課題解決やベネフィットを一瞬で理解できる名称になっている場合は問題ない。)

 

商材のカテゴリ名も同様でその商材が来場者の課題をどう解決するのかというところにまで掘り下げないと展示会では効果が薄くなる。

例えば「包丁」で考えてみようか。この場合は「包丁」がカテゴリ名にあたる。しかし、包丁を求める人も課題やニーズは様々なので「よく切れる包丁」や「こどもでも使いやすい包丁」などといったベネフィットに触れる必要がある。「包丁」といったカテゴリ名を掲示するだけでは「言葉足らず」という状態で、来場者の興味は大して引かない。
 

自分たちの伝えたいことで埋め尽くされたパネル

特に自社技術に自信がある場合、言いたいことで埋め尽くされたパネルになるケースが多い。あるいは研究開発系など技術畑の担当者がデザインを監修すると、データなどをしっかり伝えようとし過ぎてしまい、パネルの隅から隅までギチギチに情報で埋まったデザインができあがることもしばしばだ。

 

技術自体は来場者にとって知りたいことではなく「知りたいことの根拠」であるケースが多いと覚えておくとよいだろう。

 

どこを見ればよいのかわからないパネル

素人デザインで進めてしまった結果、どこを見たらよいのか分からない・見にくいパネルになるケースも多いですが、プロのデザイナーに発注していても、どこを見ればよいのか分からない状態になるケースがある。

 

なぜなら、パネルが上述のような言いたいことを中心に構成されていて、来場者が聞きたいことには答えていないという状況だから・・・このような状況の場合、来場者はどこを見てよいのか分からず迷ってしまう。

 

ブースの外からなんとなくパネルのデザインを眺めて自分の興味がありそうなものか見ている来場者もある程度いるだろう。しかし、パネルのデザインが「来場者の欲求を高めるもの」としてデザインされてない場合、ブースの中に入るまでは至らないケースも増えてしまう。

 

どんなコミュニケーションを取るか想定できていないパネル

来場者側のリアクションが「はぁ・・・」とか「なるほど・・・」で終わってしまうパネルはブース内でのコミュニケーションが想定できていないパネルだ。

展示会ブースにおいてパネルとはブースを構成する要素の一部分。「来場者の体験」を時間軸で考えたときに「パネルが果たす役割」を考えないと意味のあるパネルにならない。このような状態の場合、パネルのデザインだけでなく接客フローも同時に検討しなおした方がよいだろう。

 

これらダメなパネルに共通する特徴は、主体が出展者側にあることだ。

 

出展者が言いたいこと・伝えたいこと・取りたいコミュニケーションがデザインとして落とし込まれたパネル、そこには来場者の心理や行動は加味されていない。

 

自分たちが言いたいことから来場者が聞きたいことへ

 

既になんとなくパネルのデザインをどのような方向性で進めればよいかイメージがついているのではないだろうか。パネルの主体を来場者にして考えてみると途端に良いパネルになる

 

つまり、来場者が聞きたいこと・来場者の興味を感じること・来場者の欲求が高まるものをパネル化する。このような視点を持つだけでもパネルのデザインや効果はガラっと変わる。

 

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主体を変換したうえで、パネルにしたいと考えている内容を文章にしてみるとよい。文章にしたときに違和感なく目的・結論・根拠などが説明できるかどうか、その説明は来場者にとって理解しやすいものかを確認するのだ。組み上げたときに「文章として成立しない」ような内容だとパネルとしても成立していないと判断できる。

 

文章に変換するための方法は、【展示会の企画シート 1-8 ブースが伝えるメッセージ】のテンプレートを活用すると進めやすいので試していただきたい。

 

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www.tenjikaibooth.net

 

来場者視点になっていないデザインの弊害

来場者中心の表現になっていない場合、さらに2つの弊害が起こり得る。

 

【課題が言語化されていない来場者は気付かない】

「課題が言語化されている状態」とは日常的に意識しているという状態のことだ。困りごとを理解・感じていてその解決策を探している状態と言える。一方で、「課題が言語化されていない状態」とは、課題は存在するのに日常的な意識にはのぼってきていないという状況だ。「当たり前のこととして受け入れている」、「何かを改善しようとすることを諦めているという」、「そもそも課題であると気付いていない」、このような状態だと言語化されていないケースと言える。深刻な症状なのに自覚症状がない、という状況は意外と多く存在するのだ。

 

課題が言語化されていない場合、そもそも来場者自身が課題に気付いていないため、パネル・ブースに対して興味を示さない可能性がある。「あなたはこんな課題を抱えているんですよ」という気付きを与えるようなアプローチが必要なケースだ。

 

【製品・サービスと関係ない来場者が「自分に関係あるかも」と思ってブースに入ってくる】
とは言え、来場者はそれなりに自分に関係ある製品やサービスの情報を収集して帰ろうと思っている。ある程度行動にゆとりのある来場者ならブースの外からなんとなくパネルを見て「もしかしたら自分に関係あるのかな?」と考えてブースに入ってくるケースもあるが、このときに接客したものの「まったく自分には関係のない展示内容だった・・・」とブースから去るようなケースもそれなりにあるのだ。

 

出展者にとっては、リードとして獲得できたのだから優先度は低くても適したアプローチをしていけばよいんじゃないの?ということも考えるだろうが、時間の経過では云々なく根本的にハズレの場合があるのが問題だ。

 

その接客時間とは来場者にとっても出展者にとっても完全に無駄なものでしかない。特に会期最終日の来場者で混雑する午後の時間帯に無駄な接客をしている時間など勿体ない。展示会とは開催期間が定まっているのだから、お互いの時間を無駄に喰い合うような状態は避けるべきだ。

 

ブースにある他の構成要素とその役割は

パネルのデザインを進める下準備としてブースにある他の構成要素が何なのか、それぞれの構成要素の役割は何なのかを整理してから考えるとよいだろう。

 

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あなたは各ブースの構成要素に来場者が触れたときに、来場者にどんな行動を取ってもらいたい、あるいはどんな感情になってほしいのだろうか。

 

狙いを整理したときに、それぞれの構成要素は来場者に対してどう働きかけ、結果どんな気持ちを誘導すればよいのか、これを整理していけばパネルのデザインで強調するべき情報も見えてくるはずだ。上述の3分間メッセージをブース全体で伝える内容として活用するなら、メッセージのどこをブースの何を使って伝えるのかを整理するような作業を行えばよい。

 

例えばキャッチコピーが来場者の普段のビジネスの進め方に対して「そのやり方で大丈夫?、リスクがあるよ!」と恐怖心を煽るような表現でブースへの誘引を行うのであれば、ブース内のパネルは「でもね、安心して!、〇〇〇すれば大丈夫だよ」という表現に繋がった方がスムースな理解に繋がるだろう。

 

他の構成要素とブースが持つキャラクター性、これらが一貫性を持っていれば来場者の理解と興味喚起を促す。来場者の感情誘導を検討することと、カスタマージャーニーマップを応用した「展示会ジャーニーマップ」を検討すれば、これらの関連性を整理しやすくなるだろう。

 

■参考記事:感情の誘導

www.tenjikaibooth.net

 ■参考記事:展示会ジャーニーマップ

www.tenjikaibooth.net

 

それってパネルじゃないと表現できないの?

 

来場者のブースでの体験・行動を整理すると「あれ?、これってもしかしてパネルじゃない方が理解しやすいんじゃないの?」といったことに気付く場合がある。あるいは平面的なグラフィックであればパネルでなくとも異なるマテリアルで表現することも可能だろう。

 

パネルによる表現は安価ではあるが、例えば映像表現・デモ機・サンプル・モックアップなど、他の表現の方が理解しやすい場合はそちらも検討してみるとよいだろう。大切なのは「来場者にとって理解がしやすいのはどちら?」いう視点だ。

 

パネル以外のマテリアル

サイズ感や価格感、転用性や美しさなど、様々な特性がある。ここでもやはり「来場者にとって」理解しやすい・視認しやすいアイテムは何かという視点から選ぶようにしていただきたい。

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LEDパネルという選択肢の功罪

展示会ではLEDパネルを使うケースも多い。「非常に目立って良い」という評価がされがちですが、私は少し懐疑的な面もある。というのも最近のLEDパネルは明るすぎるのだ。

 

確かに明るいので通路から目立つことは間違いないが、正直ずっと見てられないような眩しさのLEDパネルも存在する

 

パネルの主目的は「接客」で活用することがメインであるはずなのに。眩しくて見てられないLEDパネルを使うことは円滑な接客を阻害する。アルミフレームタイプのLEDパネルなら印象としてそこまで明るさがキツくはないので、接客にも活用しやすいはずです。

 

また、来場者にとってはものの数分のことでも出展者スタッフにとっては3日間という長い時間が存在する。眩しすぎるLEDパネルにより展示会期間中、目に負荷をかけ続けていれば、どうしても最終日には疲労がたまってきてしまうだろう。

 

会期3日間のうち最終日の午後が最も集客の増える時間帯なのに、その時間までに敢えてスタッフの疲労やストレスを増大させることは合理的とは言えない。空間を使うのはあくまで人間なのだから。余談ではあるが、LEDパネルのなかでもアルミフレームタイプのものは明るさが抑えられているケースが多いと感じる。単に古いモデルであるというだけなのかもしれないが、装飾会社に依頼する際は「明るすぎないLEDパネル」という視点で発注をかけた方がよいだろう。

 

おわりに

 

展示会の強化書では、展示会ブースで活用するパネル・グラフィックのデザインを承っている。効果的なパネルデザインを作成するためには独自の制作プロセスが必要となる。ご依頼・詳細については以下の記事をご覧いただきたい。

 

www.tenjikaibooth.net

 

 

と、ここまで展示会のパネルについて基本的な考え方を追いかけてみた。次回は具体的にデザインをどう進めていくのか来場者視点で作る方法について掘り下げていきたい。

 

www.tenjikaibooth.net

 

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