展示会の強化書

展示会ブース出展の成果を劇的に向上させるための方法論をギュっと濃縮した強化書です。あなたのビジネスは展示会で大きく伸ばせる!

成果に繋がる展示会ブースをつくるための5つの鉄則

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これまでに展示会ブースで成果をあげるための方法論を様々な角度から紹介してきた。ブースのデザイン、コミュニケーションの設計、投資対効果の算出など、展示会ブースの成果を向上させるための取組みは多角的だ。

 

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成果に繋がる展示会ブースをつくるための5つの鉄則

  

この記事では、それらのノウハウのなかで基本となる項目を5つに分類し成果に繋がる展示会ブースをつくるための5つの鉄則として紹介したい。

 

展示会ブース出展がはじめての方はもちろん、出展慣れしているが思ったような成果が上がらない・マンネリになっているという出展者の方にも、自分たちの計画が適正な推進をしているかどうか、振り返ってもらうために役立てていただけるだろう。

 

 

 

5つの鉄則 

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鉄則1:来場者はドリルではなく穴を求めていると知る

鉄則2:「何を伝えるか」は自分たちが整理する

鉄則3:来場者がブースに立ち寄る「強い動機」を生み出さなければならない

鉄則4:集客はリードとして取得しなければ意味がない

鉄則5:目標設定と整合性のあるブース計画が必須

 

それぞれの鉄則について解説を進めていこう。そして、自分たちのブースに足りていない要素から詳細に深掘りしていってもらいたい。そうすれば、あなたのブースはもっと成果を上げるものに変化するはず。

 

鉄則1:来場者はドリルではなく穴を求めていると知る

 

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「顧客がほしいのはドリルではなく穴である」(意訳)

 

言わずと知れた、マーケティングの名言である。顧客は穴を開けたいからドリルを買うのであって、ドリル自体がほしいわけではない。穴が開くのであればドリルでなくともよいのだ。

 

ドリルを手段、穴を目的と言い換えれば、さらに分かりやすくなるだろう。来場者が求めているのは製品そのものではなく、製品が生み出す結果だ。ここをまず押さえておきたい。

 

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さて、実際の展示会場に目を移してみよう。多くの出展者がひしめく展示会場では「ドリル」を売ろうとしている出展者と、「穴」を売ろうとしている出展者の、どちらの方が多いだろうか。

 

これは圧倒的に「ドリル」が多数派だ。どこを見渡してもドリルドリルドリルドリルドリルのオンパレード。「穴」を売ろうというコミュニケーションを来場者の時間軸に沿って設計できている出展者は展示会場全体の一割にも満たない

 

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ならば「穴」について考えを深めてアプローチすればよいのだろう!?とは思うものの、どうしても「ドリル」のことを伝えたくなるのが人情というもの

 

特にBtoBのビジネスの領域においては「ドリル」つまり「顧客にとっての手段」についての言及が大部分を占めてしまうようなコミュニケーションが非常に多いように見受けられる。顧客の目的に言及しよう!と決意してデザイナーと調整をはじめたのに、社内の修正指示などを反映していくと気付けば「手段」の表現になっている。そんな、気付けば陥っている思考の罠から抜け出す方法は無いのだろうか?

 

課題解決型のアプローチが有効に働く

 

このような事態に対しては、課題解決型のアプローチを展示会ブースのコミュニケーションに採用するとよいだろう。課題解決型のアプローチは顧客に対して「ドリル」が生み出す「穴」の価値を端的に届けるための効果的な方法論だ。

 

来場者の抱えている課題を定義し、自社の製品・サービスがその課題を解決できる根拠を提示、最終的に課題を解決した来場者には何が起こるのかをイメージさせる。これらを整理してコミュニケーションに落とし込むことが、顧客の求める「穴」とあなたの「ドリル」を結び付ける線となる。

 

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そして、来場者に対して提示するコミュニケーションは課題像が具体的であればあるほどよい

 

なぜなら、展示会場を歩く来場者の目には非常に多くの情報が飛び込んでくる、まさに情報の洪水とも言える状況では、曖昧な情報を提示されても来場者は自分事として受け取らないからだ。「そうそう!、まさにソレに困っていたんだよ!」と感じてもらうような課題像を提示することが、情報の氾濫とも言える展示会場で来場者に足を止めてもらう秘訣である。

 

組織の課題と個人の問題の関係性を考える

 

課題解決型のアプローチを実践する際に、誰の困りごとなのかという点を詳細に掘り下げておくと効果的だ。さて、あなたが関係を築きたい来場者は一体何に困っているのだろうかあなたが今提示しようとしている困りごとは、本当に来場者の困りごとなのだろうか

 

これを具体的に考えるためには、組織の課題個人の問題の関係性を整理すると想定がしやすい。この両者は互いに関係性がありながらも微妙に異なっていることが多く、その関係性に気付くことが目の前の来場者の困りごとを導き出す近道になる。

 

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組織の課題解決と個人の問題解決を比較すると、来場者個人の足を止めるのは個人の問題解決だ。しかし、ブースでのコミュニケーションを通して来場者を納得させ展示会後の商談ステップに繋げるためには組織の課題解決も必要となる。

 

展示会ブースを課題解決型で構成するということは、個人の問題解決と組織の課題解決を同時に実践するということだ。ブースでの体験には個人の問題解決に対してアプローチするべきタイミングと組織の課題解決に対してアプローチするタイミングがある。来場者の体験を時間軸で想定すると理解が容易になるが、そのタイミングも含めてコントロールできるようになれば、効果的な集客と接客を実践できるだろう。

 

顧客像を具体化するから、自社の価値が言語化できる

 

個人や組織の課題を考えるといっても、曖昧な個人像・曖昧な組織像では詳細に掘り下げた課題は検討できない。先に挙げたように詳細に掘り下げた課題に対する課題解決が来場者の足を止める秘訣だ。よって、顧客像を詳細に掘り下げることをお勧めしたい。

 

顧客像の掘り下げ方はペルソナと呼ばれる架空の顧客像を検討するとよいだろう。BtoBの場合は顧客像だけでなく組織像と組織内の関与者像についても掘り下げる。組織と関与者が、どのような考え方・行動原理に基づいて目の前の来場者に影響を及ぼしているのかという点を掘り下げることができれば、打ち出すコミュニケーションの方向性も精度の高いものとなる。

 

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顧客像が具体的になれば、自社製品・サービスの何に対して顧客が価値を感じるのか、より明確になるだろう。自社製品・サービスを構成する要素のうち、どこに来場者が最も惹きつけられるのか、案外この点を間違ってしまっているために集客を逸しているケースも多いのだ。顧客視点で自社を見つめると、思いもしない価値に気付くことがあるものだ

 

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穴の証拠がドリルという考え方で整理する

 

顧客にとっては穴が必要であって、ドリルが必ずしも必要というわけではないということを踏まえると、あなたの提供する製品・サービスはどのように伝えればよいのだろうか。それは、顧客の求める理想的な穴を生み出すための証拠として、あなたのドリルが存在するというアプローチが説得力を持つ。

 

顧客にとっては、あなたの製品・サービスを使うこと自体は目的ではない。製品・サービスを使った先に何か達成したい未来の状態があるはずだ。この、顧客にとっての目的に意識を向けることが、展示会ブースのコミュニケーションを最適化する。

 

鉄則2:「何を伝えるか」は自分たちが整理する

 

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どんなブースを作り、どんなコミュニケーションを実践するか、その企画プロセスを大別すると「何を伝えるか」を検討する段階と「どう伝えるか」を検討する段階に分かれる。出展者と装飾会社の2者の関係性で展示会ブースを作るようなときには、必ず「何を伝えるか」という要素は出展者自身で整理しておかなければならない

 

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しかし、「何を伝えるか」という要素が整理できていないままに装飾会社やデザイナーに発注したがため、何を目指しているのか分からないブースになっているケースも多いように見受けられる。私が展示会の装飾会社にいたときも、「何を伝えるか」を詳細に言語化できている出展者は少なかった。このような状態で企画を進めると、一体どんな問題が起こるのだろうか。

 

デザイナーが考えられるのは「どう伝えるか」

 

当たり前だが、デザイナーが考えることができるのは「どう伝えるか」という手段の要素だ。「何を伝えるか」という目的に該当する要素をデザイナーやプランナーが考えることは基本的にできない。そして、「何を伝えるか」が曖昧なままデザインに落とし込まれた空間とは、得てして何を目指しているのかが不明なブースとして展示会場に落とし込まれてしまう。

 

展示会場で、ただキレイなだけで、何を伝えたいのか、誰にメッセージを発信しているのか、まったく分からないブースをよく見かける。そんなブースに限って装飾に予算を多く費やしている。しかし、何も来場者には伝わっていないので、ただキレイなだけのブースには来場者が入ってこない。

 

企画段階では出展者が装飾会社やデザイナーにオリエンテーションを行いデザインの依頼をする。しかし、「何を伝えるのか」が曖昧な状態の出展者に対して装飾会社やデザイナーがヒアリングをしたとしても、多くの場合「何を伝えるのか」を具体化することはできない。そもそも具体化しようとすらせず、まず空間に落とし込もうとする。

 

一度空間のイメージを見てしまうと、あなたは間違いなくその印象に引っ張られる。仮に企画の推進プロセスの途中で「何を伝えるのか」が固まったとしても、既に動き出したデザインの修正は容易ではない。

 

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そもそも、顧客像・顧客課題の定義・自社価値の抽出、これらの項目を詰めることが、ほんの1時間ちょっとのオリエンテーションで実現できるわけがない。もしそれができるプランナーやデザイナーがいるなら今すぐ経営コンサルになるべきである。曖昧になっている企業価値や顧客課題を短時間で吸い上げ戦術にまで落とし込むことのできるデザイナー、これは最強のスキルだろう。

 

本来、顧客が言語化できていない曖昧な状態を言語化することにデザインの価値はあると言われている。しかし、BtoBの場合はビジネスプロセスが複雑であるために、その言語化は多角的な視点から見つめなければデザインに落とし込むまでの精度の高い共通認識には辿り着けない。それを、ほんの1時間ちょっとのオリエンテーションで吸い上げられるわけがないのだ。できると主張する人がいれば、それは紛い物だろう。

 

だから、「何を伝えるか」という段階は事前に出展者自身で詰めておかなければいけないのだ。それが決まってなければ、デザイナーやプランナーの能力を最大限発揮させることはできない

 

前提条件を外注先は疑わない

 

これは、受注側の姿勢にも問題があるのだが、「何を伝えるか」という前提条件が固まっていなくても、装飾会社やデザイナーは「何を伝えるか」は固まっている前提で物事を考える。仮にそれが間違っていたとしても、だ

 

多くの装飾会社やデザイナーは、あなたの提示した与件をわざわざ疑ってはくれない。あなたが提示した顧客ターゲット、あなたが提示したキャッチコピー、あなたがイメージしたコミュニケーションを実現する空間を作ろうとする。

 

例えば、「顧客が〇〇の課題を抱えると仰いますが、本当に〇〇に課題を抱えているんですか?、この顧客であれば△△に課題を抱えているんじゃないですか?」・・・と、こんなことを問いかけてくる担当者に出会ったことのある人がいるだろうか。いるのなら、相当大切にした方がよいパートナーだ。普通は、まずありえない。

 

これが実は恐ろしい。自社商材の価値、伝えるべき相手、その相手の困りごと、これらのどれか一つでも、あなたが見誤っていると展示会ブースの成果がぐっと落ち込んでしまう

 

そして、見誤った状態のままデザインを磨き上げたところで、本当に届けたい相手には届かない。羅針盤も海図も存在しない、性能だけ良い船があっても目的地には決して辿り着かないだろう、遭難するのがオチである。

 

装飾会社は「運営」を知らない

 

出展者である皆さんは、装飾会社やデザイナーとは、展示会ブースという空間をつくるプロであるという認識を持っていることだろう。これは半分正解で、半分間違いである。

 

彼らがプロであるのは「提示された与件を空間に落とし込む」という部分のみであることが多い。しかし、落とし込まれた空間での「コミュニケーション」については全く知識や経験を有していないというケースも非常に多いのだ

 

なぜなら、彼らは展示会ブースを作りはするものの、展示会ブースの運営をした経験はほとんど無いからだ。実際に来場者がどのような行動を取るのか、出展者の立場でどのように動けばよいのか、体感的に理解できている企画側の人間はごく僅か。

 

展示会のプロと名乗りはするが、ブースを空間に落とし込むプロであるだけで、ブースで実践するコミュニケーションのプロではない。ということは、そもそも装飾会社やデザイナーの作る「企画」とはコミュニケーションを下敷きにしていない。どんな空間を作れば円滑なコミュニケーションが実現できるのかを想定できるプランナーやデザイナーは圧倒的に少数派。これ、恐ろしくないだろうか。

 

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本来は「人間の行動」をベースに展示会ブースの空間はデザインされるべきである。しかし、多くの装飾会社やデザイナーは、あなたが提示した与件をパズルのようにブースの空間に嵌め込むだけ。そこにコミュニケーションの設計は存在しない。

 

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「何を伝えるか」をまとめてから発注する

 

このような、装飾会社やデザイナーの「領域」を理解していれば、「何を伝えるか」という要素が曖昧な状態でデザイン発注することの恐ろしさは理解していただけるだろう。

 

だからこそ「何を伝えるか」は、あなた方自身で事前に考えておかなければならない作業なのだ

 

「何を伝えるか」が適切にまとまった状態であれば、あなたは既にどんな顧客と、どんなコミュニケーションを展示会場で取ればよいのかイメージできているはず。ここまでくれば、それを実現する空間にデザインとして落とし込んでもらえばよいだけだ。

 

優秀なデザイナーやプランナーであれば、この下準備があれば間違いなくあなたの希望を叶える空間に落とし込んでくれる。しかし、優秀なデザイナーやプランナーであっても「何を伝えるか」という領分には踏み込まない。

 

だから、あなた自身で考えよう。

 

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鉄則3:来場者がブースに立ち寄る「強い動機」を生み出さなければならない

 

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展示会場は多くの出展者でひしめき合っている。そして、すべてのブースを巡るためには余りにも来場者の時間は少ない

 

そもそも、展示会場に来場者はそれほど長く会場に滞在しているわけではない。しかも、事前に立ち寄るブースにはアタリをつけているし、場合によってはセミナーにも参加する。自分にとって有用なのか判別がつかないブースに立ち寄っている時間など無いのだ。

 

来場者は思った以上にあなたのブースに立ち寄らない。まずはこれを前提として理解していただきたい。

 

来場者にとっては、あなたのブースでなくともよい

 

来場者は何かしらの課題を解決しようとして展示会場にやって来ている。そのため、課題解決に繋がるのであれば来場者は積極的にブースに立ち寄ってくれるというイメージがあるかもしれない。

 

しかし、来場者にとっては別にあなたのブースでなくともよいのだ。

 

来場者は確かに課題を抱えている、そしてあなたのブースは来場者の課題を解決できる。しかし、同じように来場者の課題を解決できるブースは他にもある。時間がない来場者は、あなたのブースに無理に立ち寄らず、別のブースに立ち寄っても課題は解決できるのだ。

 

この点を考えるときに、ついつい自社製品・サービスにとっての競合他社をイメージしてしまいがちだ。同種の製品・サービスとの比較で自社が上回っている点をアピールしようとする。しかし、顧客の課題を基点に考えると自社製品・サービスの競合だけを考えるのでは狭いのだ。

 

来場者が漫然と「コスト削減」を課題として捉えていたとしよう。あなたの会社は来場者の企業が調達する機械部品を取り扱っている、コスト削減効果に優れた製品だから他社の機械部品と比較してもウチの製品が良いと自信を持つかもしれない。しかし、「コスト削減」は何もあなたの商材だけでなければ出来ないわけではない。人件費を削減するシステムの導入も該当するだろうし、水道光熱費を削減する設備の更新も該当するだろう。これは顧客の立場・役割・課題に対する認識で変わってくる。

 

もし、「絶対にあなたの商材・サービスでないと解決できない課題」を来場者が抱えているのであれば、素直にその点をアウトプットすればよい。しかし、本当に来場者の身になって「課題」をイメージすると、多くの場合ほかの解決策が思いついてしまうものだ。

 

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来場者の抱える課題は「あなたの商材・サービスでなくとも解決できる」

これを念頭に置くとコミュニケーションの質が重要になることも理解できるだろう。

 

言葉が最も刺さりやすい

 

では、どのようにして来場者とのコミュニケーションを図ればよいのだろうか。そもそも、来場者にはブースに足を踏み入れてもらわなければ何も始まらない。ブースに足を踏み入れてもらうためには、ブースの前で足を止めてもらわなければいけない。

 

さて、先に挙げたような来場者が「時間がない」うえに「あなたのブースでなくともよい」という状態であるのに、足を止めてもらうだけでなくブースに入ってきてもらうためには何をすればよいのだろう。よっぽど「強い動機付け」が無ければ実現できないだろうことは想像できないだろうか。

 

ここに、展示会においてはキャッチコピーが重要であるということが関わってくる。

 

言葉による表現は、とにかく分かりやすい。来場者が遠くにいても視認できる。もしかすると曲がるつもりのなかった通路ですら、ちょっと曲がってみようかと思わせる。そんな力がキャッチコピーにはある。適当な、意味のないキャッチコピーを掲出しているブースを見るたびに、私は何とも言えない気持ちになる。集客の役に立っていないキャッチコピーなど、ただの柄である。文字列である。

 

それ程難しい作業ではないはずのキャッチコピーづくりをサボることは、展示会出展の費用対効果を圧倒的に落としてしまう。しかし、逆に言えば展示会の成果はキャッチコピーひとつの精度で大きく向上するということだ。

 

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目の前にいる来場者の感情に働きかける

 

キャッチコピーを考えるうえで、誰に向けたキャッチコピーなのかということを大切に考えていただきたい。上述の「組織の課題」と「個人の問題」の関係性とも関連する。あなたが足を止めたい来場者が反応するのは、どちらだろうか?、言うまでもなく、個人に対してアプローチすることが足を止めるためには最も効果が高い

 

そして、個人の行動を促す際には「感情」に目を向けるとよい。「感情」は来場者がブースに立ち寄る「強い動機付け」と非常に相性良く結びついてくれる

 

その来場者が抱えている問題は、来場者のどんな感情を誘発しているのか、あなたの製品・サービスが来場者の問題を解決したとき、来場者の感情はどのような変化を見せるのか。このような感情の推移をイメージしておくと展示会で効果の出るキャッチコピーに近づきやすい。

 

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展示会場で来場者があなたのブースのキャッチコピーと出会った瞬間をBtoBのコミュニケーションプロセスのなかの一瞬として切り取ると、展示会のこのタイミングだけBtoCのコミュニケーションに近いアプローチが必要となる。ここでは「個人の感情」が行動の大きな影響要素となるから。他のコミュニケーションの段階はBtoBの論理に基本的に従うのに、このタイミングはBtoCのアプローチに近づく。これが展示会コミュニケーションの難しくも面白いところだ。

 

あなたが最初にアプローチするべきなのは、目の前の来場者その人だ。組織を説得する言葉を投げかけるのは、あくまでも来場者が足を止め、コミュニケーションがはじまったあとだ。そう考えると、あなたのキャッチコピーの姿が、ぼんやりとでも見えてこないだろうか?

 

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欲求と警戒心の綱引きに留意する

 

来場者がブースに立ち寄る「強い動機付け」が必要な点は理解いただいただろう。しかし、強い動機を生み出しても、同時にその邪魔になってしまう要素が存在する。それは、来場者が持つ警戒心だ。

 

来場者は自分の課題を解決してくれるソリューションを探している。一方で、課題の解決に繋がらない出展者とは積極的に関わりたいと思っているわけではない。多くの場合、潜在的に「売りつけられること」に対する警戒心を抱いている

 

だから、仮にあなたのブースが「強い動機付け」を生み出していたとしても、同時に「警戒心を高めてしまう」ような状態になっていた場合、来場者はブースに立ち寄らない。なぜなら、来場者にとっては「あなたのブースでなくともよい」から、「あなたのブースでなくとも課題は解決できる」から。

 

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来場者の欲求は高めつつも、警戒心まで高めてしまわないようなデザインとコミュニケーションを実践するという基本姿勢を持つとよいだろう

 

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鉄則4:集客はリードとして取得しなければ意味がない

 

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展示会出展の成果とは何で測定するべきだろうか。様々な意見があるだろうが私は必ず最終的な売上目標を基軸に成果判定すべきであるという立場を取る。リードの獲得数やAランクの集客数などは、売上に繋がる通過点だ。

 

さて、展示会場を見て回っていると集客に気を取られているがために、集客をリードにステップアップさせるための方法論がおざなりな運営となっているブースを見かける。これは大変勿体ないことだ。

 

たくさん集客しても名刺を獲得できないと意味がない

 

展示会ブースにおける「集客」「リードとしての獲得」には明確な違いがある。集客した段階では成果につながる可能性はまだ低い。集客はリードとして獲得しないと意味が無いのだ

 

リードとは、顧客の情報。要するに展示会においては名刺の獲得だ。ブースへの集客が、即ち名刺の獲得に繋がっていなければ成果には繋がらない。だから、ブースのオペレーションは集客を的確にリードの獲得につなぐ仕組みを作って運営しなければいけないはず

 

案外、このポイントが「なんとなく」で運営されているブースが多い。「なんとなく」来場者にアプローチし、「なんとなく」接客し、「なんとなく」名刺を獲得する。名刺の獲得こそが成果に繋がる大きなキーファクターなのに、そこに至る方法論が漠然としているとは、マズいの一言だ。

 

仮にあなたのビジネスモデルが、基本的に「待ちの姿勢で完結する」ものならば、徹底的に集客にだけ拘ることも悪くはないだろう。しかし、多くの出展者にとってそれは当てはまらないだろう。獲得した名刺に対して展示会後に様々な手段でアプローチするからこそ受注に繋がるはずだ

 

しかし、集客と名刺の獲得が結びついていない場合、このアプローチ自体ができなくなる。名刺を獲得していないのにどうやって集客した来場者にコンタクトを取ればよいのか。展示会後にこちらからアプローチできない集客など、何の意味も無い。

 

仮にブース内への集客が1000人いたとしても、半分の500人しかリード獲得が出来なかったのであれば、集客の1000人という数字に意味は薄い。むしろ、集客とリード獲得の間にあるオペレーションに不備があったことを疑った方がよいだろう。

 

ただ単に自社製品・サービスを紹介するのではなく、ブース内のコミュニケーションをどんなプロセスで実践すれば、名刺を獲得する仕組みとなるのか。その道筋を整理して考えることが展示会ブースの運営を健全なものへと導いてくれる。

 

接客できる限界の人数を見極める

 

さて、展示会ブースには必ず接客のリソースが存在する。獲得できるリードの数は、端的に接客できるスタッフの人数に影響される。これは例えばホームページなどの施策とは異なる要素だ。ホームページは幾ら集客してもサーバーが落ちない限り集客力に限界はない、だから出来る限り集客することが望まれる。しかし、展示会はそうではない。運営スタッフの許容値を超える接客はできないのだ

 

接客ができない。それ即ち、リードとして獲得ができないということだ。ブースに足を踏み入れてくれていた来場者がいたがスタッフが埋まっていたため接客ができなかった。この来場者が実はAランクの顧客だった可能性に気付いているだろうか

 

来場者には「声をかけてほしいタイミング」が存在する。これを逃すと来場者はブースから立ち去ってしまう。あなたのブースでなくとも課題は解決するのだから。

 

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だからと言って、運営人員が多ければよいというものでもない。ブースの運営人員数は適正人数がある。運営人数が多過ぎると来場者に警戒心を感じさせ、足を踏み入れることを躊躇させてしまう。

 

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獲得するリードを増やそうとして運営人員数を増やしたのに、来場者の警戒心を高めてしまったがために集客を減らしてしまっては本末転倒だろう。ちょうどよい塩梅を探ることは難しいが、来場者にとって「逃げ道」があるかという点が一つの判断基準となるだろう。

 

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闇雲なリード収集もまた罪である

 

リードを獲得しなければ先の成果には繋がらない。しかし、闇雲なリード収集もまた成果との相関性が薄い。

 

よく展示会場ではコンパニオンが配布するノベルティと引き換えに名刺情報を獲得するという運営をしているブースをよく見かける。とにかくリードを獲得して展示会後の電話攻撃で刈り取ろうとする物量作戦なのだろうが、これは展示会の良さを全く活用できていないオペレーションだ。そこに割く予算は別のことに使った方が有用では無かろうか?

 

例えばコンパニオンからノベルティと資料をもらって、引き換えに名刺情報を渡したとする。その来場者があなたのブースの情報をどの程度覚えているだろうか。接客を伴っていない相手の資料ほど捨てやすい資料は存在しない

 

「展示会でお名刺いただいた〇〇のブースなのですが」→「結構です(ガチャリ)」と、これは極端かもしれないが、こんなコミュニケーションばかりになっていないだろうか。展示会ブースのリード獲得は「接客を伴う」という付帯条件がカバーされていなければ、その効果が薄まってしまう

 

接客を伴うリード獲得のオペレーション設計

 

だから、ブースでのコミュニケーションを設計する際には「接客を伴うリード獲得」を通過点の一つとして設定しておくことが重要になる。先に挙げたように、このコミュニケーションが曖昧なままではダメだ。普通に接客していれば名刺なんて獲得できるんじゃないの?とは思わずに、来場者の視点や思考をイメージしたうえでブースでのコミュニケーションを想定してみよう。

 

このときに、名刺を獲得できる理想的なパターンを想定するだけでなく、途中で発生する離脱行動をイメージしておくと精度が高まる。キャッチコピーに魅力を感じたはずの来場者が、名刺を交わす前段階で「別にいいか」とブースを立ち去ってしまう理由は何か、離脱行動が発生するようなポイントはどこで、そのときに来場者はどんな思考なのかを想定するとよいだろう。

 

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鉄則5:目標設定と整合性のあるブース計画が必須

 

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接客を伴うリード収集が展示会後の成果を最大化させるキーファクターとは言うものの、一体どの程度のリードを収集すればよいのだろうか。おそらく出展者の皆さんは目標数値を設定していることだろう。しかし、その数値は何かの根拠に基づいて導き出された数値だろうか。

 

根拠ある数値に落とし込まれた目標数値が投資額の妥当性を判別する

 

あなたは、展示会出展に必要となる予算をどのような根拠に基づいて設定しているのだろう。多くの場合、年間の広告宣伝費や販売促進費の予算のなかから展示会の出展に関わる予算を割り当てているケースが多いのかもしれない。

 

しかし、その予算額は妥当なのだろうか?、予算をかけ過ぎている?、あるいはもっと投資すべき?、これらの基準は何をもって判断すればよいのだろうか。究極的には展示会出展は売上に繋げることが最大のミッションである。そのため、展示会出展による「売上目標」と「投資額」は一貫性が無ければならない。

 

〇円の売上を上げたいから、展示会で△件のリードを獲得する、そのために必要な投資額は□円だ・・・という考え方が最も健全だろう。そのためには、売上目標と獲得リード件数の関係性が数式で表現できることが重要であり、数式で表現するためにはCVRと呼ばれる歩留まり率仮説でも算出しておく必要がある。

 

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過去に展示会出展経験があれば、凡その歩留まり率は仮説立てることができるのではないだろうか。そして、リードのランクごとに歩留まり率は変わってくるのが通常だ。よって、投資額は売上目標と獲得リードのランクごとの歩留まり率を加味し決定いただきたい。根拠数値があるからこそ、獲得しようとするリードの件数にも説得力が増し、関係者の共通認識となってくれるのだ

 

自社の予算編成の仕組上、このような考え方のもと推進することが難しく、予算が先に決まったうえでの目標設定となることも多いかもしれない。しかし、そこから生まれた目標には企業として達成すべきミッションという認識は薄いだろう。目標の実現力と言ってもよいかもしれないが、このような経緯から生まれた目標は、そもそも実現力が弱くなってしまうのではないだろうか。

 

あなたが、〇件の受注を獲得したいから□件のリードを獲得しようとする、だから投資額△円が必要だ。これは自らの意志に基づいた目標設定だ。しかし、△円の投資をペイするためには〇件の受注を獲得しなければならないという考え方では、与えられた目標設定となってしまう。

 

結局、財布は同じかもしれない。しかし、そこに至る思想が異なる。あなたが達成したい未来像から数値を詳細に落とし込んでいこう

 

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目標達成に整合性あるデザインと運営計画を立案する

 

目標数値はブースの運営計画と密接に関わる。そもそも、自社の接客リソースを大きく超えるようなリードの獲得はできないかことは先に触れたが、まさにその関係性だ。

 

仮に1人のスタッフが展示会期間中に獲得できるリードの件数が100件だったとしよう。運営スタッフの総数が5人だったときに獲得できるリードの総数は500件だ。しかし、運営スタッフが5人なのにリードの獲得目標が1000件だったとすると、そもそも無茶な目標設定になっているということは疑問を挟む余地がないだろう。

 

展示会ブースの企画構成一つで、集客効率は大きく改善する。しかし、一組の接客に費やすことのできる時間を大きく変えることは難しいだろう。集客効率がよくなって、運営スタッフが常に接客をしている状態に近づいたとしても、接客できる人数が激増するわけではない。

 

だからリードの獲得目標数値が、現状の計画にある運営人員数ではカバーできないのであれば、運営人員数を増やすしかない。しかし、運営人員数を増やし過ぎると来場者の警戒心を高めてしまい、逆に集客を減らすことにつながってしまう。運営人員数はブースの条件によって適正人数がある。その範囲を逸脱してしまうと狙った効果は発揮できない。

 

このように、ブースの計画は目標達成が実現できる計画に落とし込む必要がある。しかし、そもそも計画段階で絶対に達成できないことが分かっている目標であれば、そもそも目標自体を見直さなければならない。目標と計画の整合性を取っておくことは、ブースづくりの基本であり、スタッフのモチベーションにも大きく影響するのだ

 

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Aランク客をたくさん獲得しようとする試みこそ展示会ブースの価値

 

そもそも、展示会ブース出展の価値とは「自社と取引可能性のあるリードをたくさん獲得できる」という言葉では表現として不十分だ。「成果と相関性の高いリードを獲得できる場である」ということが展示会の持つ最大の価値と言える。

 

つまり、多くの集客を獲得しようとする姿勢ではまだ足りない。Aランクの集客をたくさん獲得しようとする姿勢こそが展示会出展の価値を最大化する。「Aランク」や「いますぐ客」と呼ばれるような成果と相関性の高いリードは、あなたの企画・デザイン・運営といった要素で如何様にでも獲得をコントロールするができる。これほど貴重な機会は他のマーケティング施策には存在しない。

 

徹底的にリードの「質」に拘ったうえで、「実数の獲得」に比重を置いた計画を考えるとよいだろう。

 

ここまでに述べたことは、すべて「質の向上」と「実数の獲得」に繋がっている。そんなブースを現実のものに落とし込むことができたとき、あなたの展示会出展の価値は飛躍的に向上しているはずだ。

 

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5つの鉄則をふまえた企画推進を行うために

 

ここに挙げた鉄則を守りながら展示会ブースの企画制作を推進していけば、あなたの展示会ブースの成果は見違えるほどに変化するだろう。それぞれの項目ごとに、より詳細に掘り下げるリンク記事を紹介しているので、自分たちに足りていない項目を深掘りする助けにしてもらいたい。

 

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また、これらの鉄則に従って展示会ブースの企画制作を推進するためのワークシートを展示会の強化書では販売している。自社内で道筋を立てて検討するスキームを持っている出展者の方には不要だろうが、「何から手をつけてよいのか分からない」「時間はないが成果に繋げたい」と考えているような出展者の方には特に効果的に活用いただけるだろう。

 

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あなた方の展示会ブースは、もっと成果をあげることができる。

 

しかし、成果を上げるためのコミュニケーションに落とし込めていないブースが、展示会場ではほとんどだ。そんなブースの前を通るたびに「私にアドバイスさせてほしい!」と思うことばかり。その歯がゆさが、展示会の強化書プロジェクトの出発点だった。この記事に沿ってあなたのブース企画を見つめ直すだけでも、きっとあなたのブースを改善するヒントが見つかるだろう

 

もう一度申し上げる。

 

あなたの展示会ブースは、

もっと成果をあげることができる。

 

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