展示会における最も基本的な情報、装飾規定(レギュレーションや出展要項と呼ばれるもの)のうち特に展示会ブースの企画に影響する項目の確認方法を紹介する。
様々な主催者が様々な展示会を全国各地の会場で開催している。会場要件によって異なるが、東京ビッグサイトや幕張メッセのような大規模展示会場の場合は、主催者ごとに同一のレギュレーションとなることが多い。レギュレーションを聞くと、なんとなく主催者が想像できる、ということは展示会関係者あるあるだ。
基礎壁面の有無
ブースの出展料を支払ったときに、基礎壁面がついているのかスペース渡しになるのかの違い。
- 基礎壁面ありの場合は、オクタノルム(またはシステムパネル)と呼ばれる規格化された部材で作られていることが多い。
- スペース渡しの場合は、何もない空間にブースの範囲だけがわかるようになっている。壁面や床面は出展者側で用意しなければいけない。
高さ制限(セットバック)
- ブースの高さ、何mまで装飾できるのかという規定。
- セットバックについての定めがある場合は、ブース内の場所によって高さ制限が変わる。
壁面開放率
- ブース内に来場者を入れるレイアウトの場合、通路に面した一辺のうちどの程度ブース内への通路として開けておかないといけないのかを定めたもの。
- ブース周囲と同じ高さの壁面でなくとも、壁と見なされるサイズの規定がある。(1m程度あると、壁とみなされるケースが多い。)
通路幅(←実は重要な要素)
- ブース周囲の通路がどの程度あるのか把握しておくことも重要。(後述)
- 主催者事務局に確認が必要な場合もあるが、必ず確認しておくとよい。
会場内商談スペース
- 会場内で商談できる場所が設けられるかどうか、主催者事務局に確認する。(VIP商談室の有無など)
- 狭小ブースの場合、商談スペースを設置するとスペース効率が悪くなり過ぎるので、会場内商談スペースを活用するのも1つの方法。
ここまでは、基本的な確認事項だ。
よい装飾会社を見分けるコツ
装飾会社に展示会ブースデザインを依頼しオリエンテーションする際には、これらのレギュレーションを教えてくださいと言われることが多いだろう。(主催者によってはレギュレーションが変わらないので特に触れられない場合もある。)
もちろん、レギュレーションを遵守するということはプロとして当たり前のことなので、規定に反するようなブースをデザインしてくる装飾会社は、そうそういない。
しかし、意外と多いのが上述の「通路幅」を加味していないプランを作ってしまう装飾会社だ。レギュレーションに違反しているわけではないのだが、現実に施工するとまったく全く機能を果たさないブースになってしまう。
例えば高さ制限3.6m(セットバックなし)の展示会で、ブースの前面ギリギリ高さ制限目一杯に大きな看板を作ってインパクトを出したい!と考えたとする。この会場の通路幅は3mであったが、仮に通路幅を事務局に確認していなかった場合、どんな事態が起こっるだろうか。
図を見ていただくとお分かりいただけるだろう。通路幅に対して看板がの位置が高すぎて、来場者からは看板が視認し難い。しかも狭い通路幅に高い看板があると、圧迫感があってブースに入ることを躊躇ってしまう。
そのブースは、会場内のどの位置からどう見えるのか、通路幅を理解していれば絶対に作らないであろうというデザインになってしまっているブースが、残念なことに展示会場を歩くと、それなりの数を見つけることが出来てしまう。最近は驚くほど狭い通路幅の展示会もあるので、余計にこの項目の確認は必須事項だ。(最も狭いもので、高さ制限は3.6mなのに通路幅は2.4mというものもあった。)
多くの装飾会社は、通路幅を加味したうえでプランニングしてくれるだろうが、そうでない場合もあるということを覚えておくと、装飾会社の良し悪しがわかりやすい。ちなみに、装飾会社にはプランづくりの際に以下の2点をお願いしておくとチェックが容易になる。
- 必ず立面図を制作してもらう(平面図とイメージパースだけという提案方法になる会社も多いが、費用がかかっても立面図は企画段階から作成してもらうべき)
- 立面図(側面)で通路幅と向かいのブースとの距離感がわかるようにしておいてもらう。
他にも、良し悪しを見分けるポイントはたくさんあるが、最も基本的な装飾規定と会場要件という情報ですらも、装飾会社によっては捉え方が異なってくるということを覚えておいていただきたい。装飾会社の皆さんも、基本的なことですがこのポイントはしっかり押さえておこう。