展示会の強化書

展示会ブースの企画・装飾・デザイン・運営など展示会にまつわるプロセスのノウハウ提供ナンバーワン!展示会の狙いを強化する「強化書」です。

スタッフの行動・配置を間違えると展示会ブースの集客は激減する

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やる気に満ちあふれたスタッフの行動が来場者をブースから遠ざける・・・そんな悲劇が先日視察した展示会で見受けられました。

 

キャッチコピーが効いていて、展示のレイアウトは開放感があり良いデザイン、来場者を誘因するには最高の環境じゃないか・・・一見、そんな風に見えるブースが集客に失敗していたのです。

 

その原因は一目で分かりました、スタッフの行動が原因です。 

この記事では、スタッフの行動・配置・見え方も「ブースのデザイン」と考えて適切に構成していくための方法を考えてみたいと思います。

 

 

 

スタッフの行動で集客に失敗するブース

 

そのブースは、一見するとキャッチコピーが効いていて、開放感があってブースに入りやすい。ぱっと見のデザインだけならまさに集客のお手本とも言えるようなブースでした。

 

遠くから歩いてきた来場者も、キャッチコピーを見て興味を持ったりしたでしょう。なのに、ブースには入りません。いや、入れません。その原因はこんな状態だったから・・・

 

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この画像は極端ですが、むしろもっとヒドいことにスタッフのユニフォームがしっかり統一されていたため、なおのことスタッフによる「圧」が出ていました

 

スタッフのお声がけに対して来場者は、そのブースを避けるように通路の端に寄り、チラシは受け取ってくれるものの、そそくさと去ってしまう。興味は抱かせているはずなのに・・・

 

このスタッフの壁によって来場者がブースに足を踏み入れる行動が阻害されていたのです。

 

来場者がブースに足を踏み入れるときに作用する2つの心理

 

来場者がブースに足を踏み入れるかどうかは、来場者の心理のなかにある2つの要素が強い影響力を持っています。

 

それは、欲求警戒心

 

この2つの心理に適切にアプローチできれば、ブースの集客力は大きく向上するでしょう。

 

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■参考記事

www.tenjikaibooth.net

 

多くのブースは来場者の警戒心に意識が向いていない

 

これまでの記事で取り上げてきたブースのデザインは「来場者の困りごと」に対して適切にアプローチする大切さに触れてきました。これは「欲求」に対するアプローチとも言えます。来場者の「欲求」をくすぐるにはキャチコピーやパネルを効果的に活用するのが第一歩と再三述べてきましたが、これはあくまでも第一歩。ブースに足を踏み入れてもらうには、それだけでは足りません。

 

ここ最近の展示会ブース視察で気付いてしまったのですが、せっかく「欲求」にアプローチしたのに「警戒心」を高めてしまったがためにブースに足を踏み入れてくれない、というケースの多いこと多いこと。来場者の警戒心に対するアプローチが余りにも下手すぎるブースが非常に多い!、なんて勿体ないんだ!と言わざるを得ません。

 

実は「警戒心」とはブースのレイアウトやデザイン・キャッチコピーなどからの影響は少なく、スタッフの行動による影響が大きいのです。人間同士の関係性が、警戒心を下げるか、逆に上げてしまうのかという点に強く影響してしまいます。

 

そのうえ、タチの悪いことに警戒心はマイナス方向に強い影響が出やすいのです。警戒心を下げるのは難しいが、警戒心を高めてしまうことは簡単にできてしまう。だからこそ、スタッフの行動・配置・見え方には十分に注意を払う必要があります。

 

前提にある来場者の心理状態

 

来場者は自分の困りごとを解決してくれるモノを探している。しかし、どんな情報でも貪欲に取っていこうと思っているわけではありません。自分の欲求と相反する警戒心が存在し、その2つの要素から影響を受けているのです。

 

警戒心とは例えば、「このブースに入ったら強引に営業されるんじゃないか」「アプローチがしつこかったら嫌だな」、など実際にはそう思ってなくとも心の奥底ではこのような可能性を感じているという状況にあることで、一言で表現すると「売りつけられたらイヤだな状態」とも言えるでしょう。

 

警戒心を持っている段階では、来場者がブース前を通っているときは「まだあなたから話を聞こうとは思っていないよ」という状態です。

 

さて、この状況で「寄ってって!」「見てって!」と声をかけるとどうなるでしょうか。来場者にとっては「話を聞くつもりになっていないのに話しかけてきた!」という状況ですので、心が一歩後退してしまい壁ができる、その時点で閉店ガラガラです。

 

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「こちらがアプローチするから来場者が話を聞いてくれる」のではなく「来場者が話を聞きたいと思ってくれたからこちらがアプローチできる」なのです。普通のイメージとは順番が逆ですよね。そして、来場者に「話を聞きたい」と思わせるのはキャッチコピーや展示製品の仕事なのです。

 

極論ですが、来場者を「捕まえる」のがキャッチコピーやブースの役割で、スタッフの役割はあくまで「説明」にあると考えてもよいのかもしれません。たかが人間が看板様・キャッチコピー様のお仕事を邪魔するなんてトンでもない!というわけです。(誇張した表現ですが・・・)

 

来場者の警戒心に作用するスタッフの行動3要素

 

では、どんなスタッフの行動が来場者の警戒心に作用するのでしょうか。主に3つの要素がありますので、ブースの運営方法を振り返ってみてください。

 

  1. そのスタッフの立ち方は警戒心を抱かせない立ち方か
  2. そのお声がけ方法は警戒心を抱かせないお声掛けか
  3. そのブースのスタッフ数は警戒心を抱かせない人数か

 

そのスタッフの立ち方は警戒心を抱かせない立ち方か

 

立ち方とは、①立ち位置、②立っている向き、③立っている状態からなります。

 

①立ち位置

来場者をブース内に誘因したいという意図があるのに、ブースに入る通路のど真ん中に突っ立っているスタッフがいるという状況・・・これはまったく機能しません。

運営スタッフは、一種の壁面です。ブース内に入ってくる通路に敢えて壁を立てていては来場者は入ってきにくいのは当然でしょう。

 

②立っている向き

正面から向かってくる人は無意識に警戒してしまいます。スタッフが真正面を向いてこちらを見ていると警戒心を抱いている段階では「話しかけられたら嫌だな」という気持ちを抱いてしまうものです。

 

③立っている状態

状態とは立ち姿とも言えますが、展示会のブースではどんなポーズで立っていますか?

立ち姿には主に2つのパターンが紹介されることが多いです。

 

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左図のように後ろ手を組んだポーズで立っている人をよく見ます。後ろ手を組んだポーズには自分を大きく見せ相手を威圧する効果があります。ということは、展示会のブースにおいては適切でない立ち姿ということがわかりますね。ちなみにこのポーズは一般的には警備員などが取ることが多いです、警備という業務の性質上相手からどう見られるべきか考えるとこの立ち姿は適切なのです。

 

前で手を組むと「接遇」するためのポーズになります。イベントスタッフなどはこのような立ち方をしている人も多いでしょう。雑学レベルですが、右手を左手で覆うのがより正しいポーズとされています。諸説ありますが、侍は刀を左腰に差しているため抜刀には右手を使う、その右手を左手で押さえることは「あなたに対して敵意はないですよ」という意思表示になる、ということが理由として挙げられますが真偽のほどはわかりません。

 

ここまでは、よくあるイベント業界の接遇常識です。しかし実はこういった出迎え方をしたからといって来場者の警戒心解除にはあまり意味を成しません。ならどうすればよいの?かは読み進めていただくとわかります。

 

そのお声がけ方法は警戒心を抱かせないお声掛けか

 

お声がけで意識するポイントは①タイミング②言葉とアプローチです。

 

①タイミング

上述のとおり、ブース前を通過している段階の来場者は「まだあなたから話を聞こうとは思っていないよ」という状態です。そのため、来場者が話を聞きたいと思っているのか、そうでないのかはよくよく来場者の状態を観察することが必要です。

 

②言葉とアプローチ

キャッチコピーなどを見て、来場者の心が「あなたから話を聞いてみようか」という準備ができたらお声がけの段階に入りますね。このとき、どんな言葉をどんな方法で投げかけましょうか。

 

上述のとおり、正面からアプローチするのは警戒心を強めるのでNGです。基本的には斜めの角度からアプローチするのが良いとされています。お声がけする言葉も「いかがですか?」といった言葉よりも「何かお困りですか?」や「詳しくご説明させていただきましょうか?」など、来場者の考えていることを想定したうえで「相手が答えやすい」質問を投げかけるのがよいでしょう。

 

そのブースのスタッフ数は警戒心を高めない人数か

 

警戒心を抱いている来場者にとって出展者スタッフは「狩り場で舌なめずりしながら罠を仕掛けるハンター」です。か弱い草食動物の来場者は、よっぽど美味しそうなエサが目の前に転がっていないと、そんな危険な場所に自ら足を踏み入れることはしないのです。たくさんのハンターが来場者というウサギを狙っている状態・・・人数が多過ぎるとブースに入るのを躊躇してしまうのです。

 

また、人が人を呼ぶという言葉がありますがその逆パターンも存在します。無人が無人を呼ぶという嫌な状況です。あるブースにスタッフしかおらず、来場者が1人もいないという状態、この状態ではブースに入ることを躊躇してしまうでしょう。あるいは、ブースの面積に対してあまりにもスタッフが多いと感じるような状態の場合、これも中に入ることを躊躇してしまいます。

 

ちょっとややこしいのですが、「実際に何人いるか」と「何人いるように見えるか」は異なります。実際には「何人のスタッフがブースにいるか」という状況よりも「スタッフがたくさんブース前に並んでいる」という状況が問題だったりします。また、スタッフでありながら、スタッフとしての存在感が薄いという状態を作っておけば来場者の危機感を高めるリスクは減ります。応用すると、サクラは効果的に機能するということです。

 

3要素をミックスした最悪の運営状況

意外とこれら3要素は「逆に集客に資する」と思われがちです。ブースが活気にあふれているように見えるよう多くのスタッフが運営として参加し、そのスタッフは通路にみんなで並んで元気よくハキハキとお声がけし、ちょっと興味がありそうな来場者がいたら速やかにお声がけしてまわる・・・

 

もうわかりますよね。警戒心を抱いている段階ではこれらの行動はマイナス方向に作用してしまうのです。またタチの悪いことに、これらの行動は「良かれと思って」取る行動なのです。一生懸命なスタッフの行動が来場者を遠ざける、これはなんという悲劇なのでしょうか。

 

警戒心の下げ方【アパレル店舗の常識が応用できる!】

 

さて、それではどうやって来場者の警戒心を下げればよいのでしょうか。ここでは接客のプロであるアパレル店舗のアプローチ方法が参考になります。

 

大型の量販店ではなくスタッフ数名程度で運営しているアパレル店舗を思い描いてください。うまい店舗はスタッフの声がけタイミングなどが実に絶妙ですが、実は声がけのタイミング以外にも店舗に足を踏み入れてもらうための基本的なノウハウがスタッフの行動に落とし込まれているのです。

 

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警戒心を下げる動的待機

 

先ほど立ち姿について触れましたが、そもそも「立って待機」している状態はあくまでも「接客のためのスタンバイ」をしているよ、と来場者に示しているような状態なのです。この状態では、客は「スタッフがこちらに声をかけることを虎視眈々と狙っている」と感じてしまい警戒心を解きません。上述の「前で手を組んでいる状態」でもまだ不十分と述べた理由はここにあります。

 

そこで活用されるのが動的待機という手法で、アパレル店舗ではよく使われる方法です。

 

スタッフ数名で運営しているようなアパレル店舗で、スタッフが忙しそうに展示している服を畳んだり、マネキンを調節していたりするのを見たりしませんか?、もちろんキレイに展示を見せることも目的の一つですが、この行動の大きな意味は「私はあなたに話しかけるよりも、別の作業で忙しいですよ」という印象を与えることが目的なのです。

 

「スタッフが自分に声をかけてこない」という印象を抱くと警戒心は下がります。警戒心が下がるということは店舗のなかに足を踏み入れる切っ掛けになります。「動的待機」はアパレル店舗では徹底されているところも多いです。

 

この手法を参考にすると、展示会ブースでの行動にも反映できそうですね。カタログスタンドのチラシを刺しなおす、展示台の上を片付ける、椅子の場所を調整する、など意味のない行動に見えますが「動的待機」という行動として考えると理にかなっているのです。

 

だからと言って、商談スペースで仕事をはじめたりしてしまうと逆に来場者としてはブースに入りにくくなってしまうので気をつけてください。「仕事の邪魔だと思われるんじゃないかな」または「接客するつもりがないのかな」というどちらかの方向の印象につながり、ブースから離れて行ってしまいます。

 

立ち位置・アプローチもアパレル方式が参考に

 

アパレル店舗のスタッフは、店舗内動線の真ん中に立ち尽くしていることはほぼありません。店舗外側の通路に立つときでも基本的には店舗の両サイドに近い場所に立っています。

  

動的待機を基本とし、そうでないときも体の向きは通路を通るひとの正面には向きません。声がけはしていても「自分に対して声がけしている」という印象になることは避けているのです。

 

声がけも正面からお声がけするのは警戒心を抱かせるのでNG、基本的には斜め前からアプローチしてきます。そして、お声がけのタイミングも相手が興味を持っている、何か困っているタイミングで声がけするようにしているアパレル店舗は接客の流れがスムースです。

 

展示会においては、来場者がブースの外にいるときは来場者の足の向きなどで判断します。このあたりは様々な判断基準がありますが、スタッフ一人一人が「来場者の警戒心を解く」という視点で行動するという意識を持てば自然と身についてきます。

 

ちなみに、専門で扱った書籍ではないですが、一部参考になる情報が掲載されている書籍を紹介します。

 

周りは適切なスタッフ行動になってないブースばかり、ということは!?

 

アパレル店舗は売上を向上させるために「入店率を向上させる」という視点でスタッフの行動を解体し、適切なアプローチになるようなノウハウを積み重ねています。しかし、展示会に出展する我々は接客業のプロではなく、普段やりなれていない行動を取るため、適切な行動を取れないことが多いでしょう。

 

だからこそ、スタッフの行動を最適化することは他のブースと比較したときに圧倒的な差別化要因となるのです。せっかく来場者の心をブースに向けたのであれば、それを逃さないスタッフの行動を他の業界のノウハウを参考にして身につけたいものです。

 

まとめ

 

実は、スタッフの行動以外にもスタッフのユニフォームなどもこの要素に強い影響があるのですが、それはまた次回に記事にしたいと思います。

 

アパレル店舗における入店率という言葉で表現しましたので、展示会においては入小間率と表現しましょうか。入小間率を向上させるポイントは2点

 

  1. 欲求を高める空間的デザインアプローチ
  2. 警戒心を下げる対人的アプローチ

ということになります。この記事では対人的アプローチについて掘り下げました。

 

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先に挙げた動的待機を活用しながら、どのように来場者に声がけなどのアプローチを具体的にかけていけばよいのかという点について以下の記事で掘り下げています。展示会場でのスタッフ行動の具体例として参考にしてみてください。

 

www.tenjikaibooth.net

 

このように、ブースデザインの観点だけでなくスタッフの行動含めてトータルに展示会をデザインしてくことが必要です。実際の行動はどうしたらよいの?といったことにもアドバイス可能ですので、お悩みの方はご相談ください

 

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