展示会の強化書

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なぜその展示会に出展する?、展示会出展の「目的」ではなく「理由」を考える

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この記事では展示会出展の「理由」を考えることでブースの企画に一貫性を持たせるための方法論を紹介する。もし、展示会に出展する意義やメリットについて知りたくてこの記事に辿り着いた方がいれば、以下の記事が参考になるのでコチラをご一読いただきたい。

www.tenjikaibooth.net

 

さて、「目的」と「理由」、この2つは同じような意味合いだが、ここでは別のモノとして定義している。

 

「その展示会に出展する目的は何か?」という問いかけをされることは多いだろう。だが、実は「目的」は何だ?という考え方をしているがために、社内の関係者やパートナーの装飾会社にブースのコンセプトが正しく伝わらず、方向性を見誤ったアウトプットになってしまうというケースが存在する。

 

なぜその展示会に出展するのか、その展示会は本当に出展するに値する器を持っているのか、丹念に情報を拾おうと努めることがブースの成功に向けた鍵になる。

 

 

展示会選定のなかにある背景は、関係者が抱くべき共通認識となる本質を含んでいる。同時に、本当にその展示会が本質を実現する器を持っているかどうかは、主催者が発表している情報からも読み解くことができる。

 

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展示会出展の理由と期待する効果

 

既に出展する展示会が決まっている場合も、まだ決まっていない場合もこの作業をしていただきたい。これまで設定したコンセプトと展示会選定にズレがないかチェックができるから。そして、大きなズレがある場合には勇気をもって立ち戻ることも大切だ。

 

ここで考えることは2点。

 

  1. 展示会出展の理由(目的ではない)
  2. 展示会出展に期待する効果

 

それぞれ、考え方について掘り下げていこう。

 

「目的」でなく「理由」を考えるとは

 

出展の目的は何か?

出展する理由は何か?

 

この2つの問いかけには違いがある。時間軸にすると理由が先にあり、それを踏まえて目的が生まる。理由とは何か行動を生み出すにあたっての背景であり、その解決を図るということが目的になるので、これらの2つは異なるものと捉えている。

 

さて、展示会出展の「理由」をこの段階で考えるのはなぜだろうか。

 

目的とはキラキラしたものだ。目指すべき目的地、大義名分、ミッション、似たような意味合いでいろんな表現がされる。「目的」とは、関わる人のほとんどが共感でき、それを掲げることに納得のいくものである。しかしその分かりやすさゆえに、どこかお題目的になってしまうという課題も抱えてしまう。

 

例えば数ある展示会のなかで、「今回は製造業向けに機械要素技術展に出展しよう」と決めたとする。そのときに「出展の目的は何か?」と問いかけると出てくる言葉は「出展製品の〇〇〇をPRすること」「引き合いを獲得すること」というワードになってしまう。

 

一言で述べるなら、「当たり前」過ぎる言葉になってしまうのだ。

 

装飾会社の立場から考えてみよう。ブースのプランを検討するために基本的な情報をヒアリングをするが、その際に展示会出展の目的を「〇〇〇のPR」「〇〇〇の引き合いを獲得する」と伝えられたところで、「そりゃ当たり前でしょうね」という認識にしかならない。

 

「当たり前」と捉えられると認識の重要度が下がってしまう。大切な情報のはずなのに、大切に捉えられないという事態になってしまう。展示会に出展する・その空間をつくるために最も大切な要素であり指針となるはずの「目的」が上滑りして捉えられてしまっている状況だ。

 

目的設定のジレンマとでも表現できる状況と言えるでだろうか。目的を伝えられても上滑りしてしまう、しかし展示会に出展する根本的な意義を理解するために「理由」を考えるのだ。

 

理由は目的に至るのプロセスだ。泥臭かったり、ちょっと言いにくい事情があったり、現実の状況が反映されていたりする。たくさんの「理由」を集めて固めて削ぎ落して、キラキラと磨き上げたものが「目的」だ。最初から「目的」は何だ?という問いかけ方をしてしまうと余りにも削ぎ落し過ぎであるために、これらの「背景」を認識しせずに上滑りしてしまう。

 

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つまり、「理由」を理解した方がリアルな事情・物事の本質をつかみ取ることができまる。これは社内外の関係者に対して情報を共有する際にも役立つ。例えば装飾会社に対して「理由」を伝えると「目的」を伝えるときよりも迫真性が生まれ、生み出すブースでのコミュニケーション像がリアルに共有できる。

 

展示会出展に期待する効果

そもそも、その展示会出展には何を期待しているのか。その展示会に出展することで、どんな状況になってほしいのかということをイメージして考えていただきたい。

 

ペルソナ(来場者)中心の思考でコンセプトを検討してきたが、一方で「自社にとって」はどんな期待を込めるのかという点から考えることも必要だ。数値に現れない定性的な状態などをイメージして記入するとよいだろう。

 

展示会の基本情報

 

さて、展示会に出展する理由や期待を考えてみたが、その展示会は本当にその期待をかなえてくれるだけの器を持っているのだろうか。出展を検討している展示会の主催者が発表している情報などを読み解くことで、一定の推測は可能になる。

 

ここで考える・調べることは主に4つ。

 

  1. 展示会基本情報
  2. 出展者規模
  3. 出展費用
  4. 主催者発表情報によるペルソナ該当者層

 

それぞれ、どのように捉えればよいのか掘り下げていこう。

 

展示会基本情報

展示会のベーシックな情報を調べていく作業。主にリサーチいただきたいのは以下の項目だ。

 

  • 展示会名
  • 主催者
  • 会期
  • 会場
  • 使用ホール
  • 来場者数(集計方法)

 

展示会名や主催者などは一般的な情報なのですぐにわかるだろう。重要になるのは来場者の集計方法はどのような形式になっているのかというポイントだ。

 

最終的な展示会成果を取りまとめる段階で、来場者数は一つの参考情報になるだろうが、その集計方法には大きくわけて2タイプあり、それぞれで来場者数の公式発表に対する評価方法が異なる。

 

【受付カウントか通過カウントか】

BtoB展示会の場合、会場入口の受付で名刺と入場者パスを交換するなど「受付」した人数を来場者数としてカウントしているケースが多いだろう。しかし、地方の総合展などでは会場入口の通過人数を来場者としてカウントしているケースもある。このような場合、同じ来場者が何度もカウントされてしまうため正確な来場者数とは異なる数値が出てしまう。来場者のカウントをどのように取っているかということは事前に事務局に確認しておくことで、正確な展示会規模を測ることができる。

 

出展者規模

来場者数に対して、どの程度出展者がいるのかという点も注意を払って見てみるとよい。多くの来場者がいても、それ以上に多くの出展者でひしめいている場合、ブース前を通過する来場者は思ったほど多くないかもしれない。主に確認する項目は以下の3つだ。

 

  • 出展者数(可能なら競合数)
  • 総小間数
  • 展示面積

 

確認できる情報とできない情報が主催者ごとにある。出展者数しか調べられなかったというパターンもあるだろうが、それならそれで仕方ない。しかし、例えば出展者数(余裕があれば競合他社数)や総小間数(出展者の小間数合計)、または総展示面積(出展者の小間面積合計)、使用ホール数(面積)といった情報と来場者数のバランスを見比べてみると、複数の展示会から出展する展示会を選定する際には参考情報になり、展示会出展後に成果を測定する場合にも参考情報となるだろう。

 

来場者の滞在時間まで数値が出ていれば、より比較しやすいが、そこまで情報を公開している主催者は少ない。出展者規模に関連する情報は、主催者のホームページや主催者事務局への問合せといった確認方法のほかに、JETROのホームページに掲載している場合もある。

 

参考:JETROホームページへのリンク

www.jetro.go.jp

 

出展費用

展示会が自社の期待を叶えてくれるポテンシャルがあるかどうかは、主催者発表情報からある程度読み解ける。そして、関連する費用が「見合って」いるかどうかも当然検証しておきたい情報だろう。

 

出展費用に関連して、主に確認しておきたいのは以下の3項目だ。

 

  • 小間数(〇小間 〇m×〇m )
  • 開放面(〇面開放)
  • 出展費用(パッケージorオリジナル)

 

主催者発表情報によるペルソナ該当者層

 

主催者から、来場者の職種や業種比率が発表されている場合がある。その場合、ペルソナが該当する層がどの程度の割合かどうかを確認しておこう。

 

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もちろん、その層のすべてがペルソナというわけではないが、来場者のうち自分たちの求めている顧客像に近い層がどれくらいの数いるのか知っておくことは、ブースでのコミュニケーション立案の助けにもなる。そして、これらの情報を総合的に比較したうえで、出展する展示会を検討いただきたい。

 

例えば、自分たちの出展する製品・サービスにドンピシャの展示会を選ぶ必要はないかもしれない。余裕があれば前年度の開催実績から「競合他社数」を調べてみると参考になる。

 

来場者が多くても競合の多い展示会ではリード獲得に効果的でないと感じるのであれば、少し横道に外れたテーマの展示会でもよいだろう。主催者発表の情報を分析し、自社にとっての顧客になり得る来場者が一定数いることが分かった、さらに「競合他社数」が少ない、といった状況であれば一人勝ちできる可能性は高い。このように、丹念にリサーチすることが適切な指針を導き出す。

 

おわりに

展示会のコンセプトをまとめていると、複数の方向からモノゴトを考えたがためか思わぬ矛盾が出てくることがある。そんなときは勇気をもって前のステップに立ち戻り検証しなおすという姿勢が展示会ブースづくりには必要だ。

 

これまで検討してきたコンセプトに本当に合致する展示会なのか、逆に立案したコンセプトは展示会にフィットするのか、出展する展示会が決まっている・決まっていないというタイミングによって、矛盾する項目があれば検討しなおす項目は異なる。

 

一貫性のあるアウトプットこそが望ましい顧客を獲得するための最短経路。コンセプト全体の整合性を出展する展示会の特性などから見直していただきたい。次回の記事では、ブース装飾の計画にも大きく影響する目標設定と費用対効果の算出について深く考えよう。

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