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展示会ブースのパネルを【来場者が聞きたいこと】起点でデザインする方法

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前回の記事ではパネルデザインをどのように捉えればよいのか、という点について考えてみた。

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コレを踏まえたうえで、「来場者の視点に立った」パネルをどうデザインすればよいのか、具体的な方法論に触れていきたい。

 

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来場者が聞きたいこと基点のデザインとは

 

さて、パネルが設置してある場所が仮にブースの奥の壁面だったとして、なぜ来場者はブースに入ってきたのだろうか。そして、来場者はパネルの前に立った今どんな気持ちなのだろうか。また、パネルを見てもらったあと、どう感じてもらいたいのだろうか。

 

これらを考えるには、まず来場者が「どんなアイキャッチ要素に惹かれブースに入ってきたのか」という点をイメージしてみるとその後の心理状態などが想像しやすいだろう。そのうえで、自分たちが設定するゴールまでのプロセスにおいてパネルがどんな誘導をすればよいのかを想像してみることだ。

 

パネルデザインへの落とし込み方法(2パターン)

 

パネルの役割はイメージできただろうか。それでは詳細なパネルデザインへの落とし込み方を考えていこう。

 

伝えたいメッセージや誘導したい感情に応じて、ゴールに導きやすいデザインの型がいくつかある。そのなかでも、どんなメッセージにも応用しやすく、来場者にとって理解しやすいパネルデザインの方法論、王道パターンが2種類あるのだ。

 

2パターンのどちらにも共通するが、まず結論を最初に述べ、そのあとに根拠・証拠を提示する方法であるピラミッド構造を利用しデザインに落とし込む。

 

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ピラミッド構造とは「ロジカルシンキング」というテーマが出てきたときに頻出の方法論だ。まず結論(展示会の場合は来場者の課題解決)について述べ、来場者の興味を引いてからその根拠を説明するとするというステップを踏む。この方法はプレゼンテーションなどでもよく活用される方法なので興味があれば調べていただきたい。

 

展示会でありがちなパネルデザインは「技術や製品の紹介に終始してしまい、結論部分の提示がなく、結局来場者にとって何がメリットになるのか、瞬間的に分かりにくい」という状態になっているものが多い。

 

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両パターンの使い分けポイントとして「来場者が自分の課題を言語化できているか」ということを想定してみるとよいだろう。

 

「言語化」とは「顧客がその課題を日常的に意識できているか」ということだ。日常的に意識できていない状態とは、本来は困りごとであるはずなのに当たり前の状況として受け入れているため、困りごととも特に思っていない、という状況をイメージしてもらうとよい。

 

困りごとを言語化できている場合は課題に対するスイッチが入りやすいのでAパターンが明快で良いだろう。逆に困りごとを言語化できていない場合には「あなたはそもそも困っているんですよ」ということに気付いてもらう必要があるので、背景や状況の説明が入るBパターンの方が共感しやすくなる。

 

モチロンこのパターンに拘らない落とし込み方もある。パネルのねらいに応じて、実践するためのは、実はこの他にも幾つか存在する。そして、誘導したい感情に近づけるためにパネルに個性を付与するという作業を加えて、デザインを作り込むとさらに効果的になる。

 

ただし、どんなときでも「来場者がどういう状態で何を聞きたいのか」という顧客視点でデザイン案を作ることをイメージすることは必須である。

 

実は来場者を引き込むサブキャッチコピーとして機能する。

このデザイン方法を活用すれば、パネル自体にもキャッチコピーと同様の効果を持たせることができる。キャッチコピーだけではまだブースに入るに至らなかった来場者が、外からブース奥にあるパネルを見たときに「結論」にあたる要素が通路からも見やすく、自分の課題解決について触れている場合、後押し材料となってブースに入ってきてくれる場合があるのだ。

 

デザイナーへの発注方法

 

先ほどのテンプレートに沿ったデザインをするのであれば、関連項目のテキストや画像素材をデザイナーに提供すれば一定レベルのデザインは上がってくるだろう。依頼の際に意識しておくべきポイントが幾つかある。

 

どのデザイナーがデザインするのか

まず、基本的には「グラフィックデザイナー」に依頼することが大前提だ。「デザイナー」と一口に言ってもその専門領域は多種多様だ。普段から平面の表現に慣れたグラフィックデザイナーであれば、一定のクオリティで仕上げてくれるはず。

 

展示会の装飾会社にパネルデザインを依頼する場合は、見積書に「グラフィックデザイン費」や「パネルデザイン費」が計上されていたとしても、グラフィックデザイナーではなく社内の営業担当者がデザインしてしまうケースがある。そのため、このような項目がある場合は「グラフィックデザイナー」がデザインするのかということを装飾会社に確認しておくと安心だ。

 

なぜこんな事態が起こるのか、それはIllustratorというソフトが多少なりとも触れるなら「それなりに」見えるデザインは作れてしまうからだ。しかし、グラフィックデザイナーのデザインしたものでないケースの場合は、「画面全体のバランス」「パッと見の印象」「伝えるべきポイントが意図通り伝わるか」といった点が適切に機能していないケースも多い。

 

現に展示会場を見てまわると、「Illustratorを操作できるだけ」の「デザインのイロハ」が欠けたパネルをよく見かける。このようなパネルは大抵、顧客に対して最も強調して見せるべき項目が適切に構成されていない。結果、意図したコミュニケーションには繋がらないのである。安かろう悪かろうでは意味がないので、見せかけだけの「やってる感」に騙されないように注意を払う必要がある。

 

パネルはブースのどこにレイアウトする?

一方でグラフィックデザイナーの場合、空間で捉えることが苦手な人も多い。サイズ感+実際の設置位置(高さ・距離)がイメージできていないと、「展示会場で実際に使う」ことを踏まえた適切なデザインに繋がらない。そのため、来場者がパネルのどの情報をどの立ち位置から見るのかという点は確実に伝えておくべきだろう

 

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特に、サブキャッチコピーとしての機能を狙いたい場合には、どの程度離れた位置からコピーが見えてこないといけないのかという点を決めておく必要がある。この設定によって文字のサイズ・見せ方・余白の構成などは全く変わってしまうためだ。

 

このケースでは、1枚のパネルの情報にも「遠い位置から見る情報」と「近い位置から見る情報」が混在している。パネルの情報すべてを来場者が同じ立ち位置から見るような想定でデザインすると適切に機能してくれないこのように「使い方」を時間軸と距離感ふまえて正しくデザイナーに伝える必要があるのだ。

 

共同出展ブースの場合のデザイン注意点

 

自治体の冠のもと複数の出展者が集まる「共同出展」の形態の場合はデザインにさらに注意が必要だ。なぜなら、共同出展ブースは基本的に冠になる自治体や産業振興組織のイメージを一貫性として演出したがる傾向があるので、逆に各共同出展者の展示コーナーは差別化が難しくるためだ。

 

例え、共同出展者ごとにキャッチコピーの掲出や写真の掲載もできる社名板があったとしても、他の共同出展者も同一のデザインとなることから、来場者がブース全体を見渡した際には単調なデザインであると見えてしまい、キャッチコピーによる差別化ができていないケースも多い。

 

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デザイン上の差別化がないと、キャッチコピーも目に入ってこない。来場者にとってはブースに立ち寄る理由が薄くなってしまう。では、どこで来場者をキャッチすればよいのか。多くの場合パネルのデザインでキャッチしないといけないのだ。

 

そのため、パネル半分ぐらいの面積をキャッチコピーとして活用する、説明パネルとしてではなく来場者を捕まえる目的でパネルを活用した方がよいケースが多い。来場者をキャッチしないことには商談も何も始まらないのに、キャッチの役に立つのがパネルだけしかないのであれば、そのデザインを工夫するしかないだろう。

 

詳細な説明はカタログやチラシなどの手元資料を作っておき、パネルについては来場者を捕まえるためのアイキャッチ要素と割り切った方がうまくいくはずだ。

 

■参考記事:共同出展について

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おわりに

 

たかがパネル、されどパネルということが理解いただけただろううか。できればパネル単体について考えるのではなく、ブース全体のコミュニケーションを見渡したときにパネルが持つ役割が最適なものとなるようなデザイン誘導を進めてほしいものだ。

 

もし、自社の周辺で適切なサポートをしてくれるデザイナーがいない場合や、ここに記載した方法論を実践するのが難しい場合には、展示会の強化書でもデザインの依頼を承っているので、以下の記事をご一読いただきたい。

 

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